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2010年03月27日
生々しすぎる性の目覚め!悪夢のようでいてどこかにそれを望む自分を見つけるかも?? 1巻目の「惡の華/押見修造」

惡の華(1)/押見修造
| オススメ度: | ★★★★☆ |
| 俺これ好き度: | ●●●○○ |
| 万人向け度: | ◆◆◇◇◇ |
| マニアック度: | ■■■■□ |
フランスの詩人が好きな読書少年が、性の欲求に負けてたった一度の過ちを犯してしまい、その現場を一人の少女に見られてしまっていたがために倒錯的な二人の関係が始まる、というドラマ。
ハプニングをきっかけに巻き起こるドタバタ劇のようでありつつ、少年の性の目覚めと、変態的な欲望を一人の少女によって暴かれるという、なんだか文学的な毛色も持つ作品。
悪魔のような彼女に対して「アリだな」と思ってしまったら色々と危険。しかしそうと分かってはいるのだが……。
主人公、春日高男は中学二年生。おとなしい性格で本が好きな文学少年で、ボードレールを愛読している。
そんな彼がある日、放課後の教室で、憧れのクラスメイトである佐伯奈々子の体操着を、どうしようもない衝動に駆られて盗んでしまう。
激しく後悔する高男だが、同じくクラスメイトの仲村佐和に目撃されていたことが発覚。
仲村佐和は、美人なんだけど表情は冷たく何を考えているかわからないし、教師にも暴言を吐きテストの答案を白紙で出すような変人で、クラスの嫌われ者。
そんな仲村佐和は、高男に対してある契約を持ちかける。というストーリー。
性格のひねくれた佐和は、高男という「変態」を見つけたことで、この変態が何を考えてどんな思いで何をしているのか、その1点に興味があるようでして。
対する高男は、困惑してただひたすらに佐和を嫌悪するばかり。しかし弱みを握られているだけに、戸惑いながらも彼女の指示に従ってしまう、という展開。
人間の持つドロドロとした欲と性を知りたくてたまらない佐和と、自分の内面の変態性に気付いてすらいない高男。
やがて佐和の指示は、より変質的にエスカレートしてゆく。
彼女の「私はただ見たいの 死ぬほど見たいの ガーーーッっていう真実の変態が」という言葉が強烈です。
展開をなぞってみるとそこらの美少女エロコメにでもありそうなストーリーですが、読んでみると生々しい重さのある作品。
思春期にありがちな、欲求に負けて間違いを起こし、後悔と反省から世界が全部敵になってしまったような、あの後ろめたさと恐怖を伴なう罪悪感が実に見事に描かれていまして。歳をとればかわいらしい笑い話として振り返ることができるような、青臭い少年の情念があふれてくるんですな。
性の目覚めと変態性の自覚と発露というテーマであるため、一人の男性としての、思春期における痛々しい記憶を呼び起こされるようでもあり、思い出したくも無い体験と作品のモチーフがシンクロすることで、あの頃に感じた恥ずかしさと懐かしさが同時に沸き上がってくるようなマンガとなってます。
そして仲村佐和の悪魔のような性格が、認めたくないけどひどくいいんですな。えらくかわいいだけにタチが悪い。
無自覚的な性の衝動に対して「それは変態だ」と指摘された挙句にその感想を語ってくれとか、確かに中学時代に言われたら、高男同様にもう世界に対して絶望するしか無いかもしれない。
しかし心のどこかで、異性に対して自分の欲望を暴露されたい、支配されたいというような、倒錯した思いも芽生えてくるようでして。
色々と罪作りです。
ほんとこの作者の、性に対する捉え方と描き方は面白い。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)
投稿者 bird_chief : 2010年03月27日 22:58
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