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2010年03月31日

描かれるのは「生命」への純粋で熱い賛歌!子供向けと思っちゃいけない! 1巻目の「どうぶつの国/雷句誠」

描かれるのは「生命」への純粋で熱い賛歌!子供向けと思っちゃいけない! 1巻目の「どうぶつの国/雷句誠」


どうぶつの国(1)/雷句誠

オススメ度:★★★★☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◆◇◇
マニアック度:■■□□□
 

動物たちの暮らす星、「どうぶつの国」に流れ着いた人間の赤ん坊と、彼を拾った一匹ぼっちのタヌキ。
そんな二人が、野生さながらの弱肉強食の世界の中で奇跡を起こしていくというドラマ。
かわいく造詣された動物たちの世界で繰り広げられるファンタジーながら、非常に熱く燃えたぎる展開に惚れる作品。
表紙のかわいさからは予想もつかないような、容赦なく無理矢理に、魂の底から震え上がらせてくれるような、そんな強烈な印象を秘めています。

 
動物たちがそれぞれの種ごとに社会を形成し、道具を使い言葉を交わして生活している「どうぶつの国」。
しかし、異なる種族同士では言葉は通じ合わず意思の疎通も図れず、強い肉食獣は弱いものを捕食し、弱いものは集団となり固まって暮らすような世界。
「弱いもの」の一匹であったタヌキの女の子、モノコ。彼女は山猫に両親を食べられ、一人ぼっちになっていた。
そんなモノコの前にやってきたのは、どこか別の場所で親に捨てられ、この世界に流れ着いた人間の赤ん坊。
モノコはこの赤ん坊の母親になろうと決意するのだが、当の赤ん坊は何故か既に生きようという意志を失っており衰弱していくばかり。
そしてなんとかこの命を救おうとするモノコの前に、黒いオオヤマネコの「クロカギ」が現れ……。という展開。

こうやっておおまかなところを紹介すると、どこの絵本か子供向け童話かというような感じですが、これが実は相当にアツい漫画となってます。
動物たちの世界においては、ツメもキバも無く自分ひとりで歩くことすらできない人間の赤ん坊。ところがこの赤ん坊が、動物たちと心を通わせていくことで、「どうぶつの国」に大きな変化が起こるストーリー。
命の危機に瀕した赤ん坊を救う、モノコや仲間たちの熱意。襲い襲われる世界の何かが変わるのを待っていたクロカギ。その全てが、命を守ること、生きること、弱者をいたわることへとつながり、そこらのアクション漫画を蹴散らすほどのパワフルな作画も相まって、燃える、泣けるドラマとなっているのですな。
テーマとしてはシンプルなのに、真正面からがっちりとぶちあたってくるメッセージに、「子供向けっぽいのになんで俺はこの歳になってこんなに感動してるんだ」という気にさせられます。

クロカギのアクションシーンなんかを見ても分かるように、普通にバトル漫画やっても保証済みの質の高さを持つところに、母親と赤ん坊というテーマがあり、そして「生命」に対する飾り気の無い剥き出しの熱さがたぎりまくっている作品。
設定としてファンタジーではあるものの、赤ん坊に秘められた秘密やこの世界の謎と全貌とはまだまだ明かされておらず、この先どんな展開が待っているのか素直に楽しみになれますな。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 23:59 | トラックバック
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2010年03月30日

お姫様なのに引き込もりのダメ人間!でも彼女のお世話なら進んでやりたいかも!? 1巻目の「自宅警備姫テラス/下村トモヒロ」


自宅警備姫テラス/下村トモヒロ
全1巻

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◇◇◇
マニアック度:■■■□□
 

とある王国の、栄えあるロイヤルガードとして配属されながらも、護衛することになったのは24時間自宅警備中のダメ王女。
他人とかかわるのがめんどくさい王女と、なんとかして彼女の側に使えようと言う護衛との、すったもんだのドタバタコメディ。
見るからにやる気も威厳もない王女さまなんだけど、なんだか放っておけないかわいさがあったりして。
読み切りで済ますにはもったいないなこれ。

 
主人公は春日ハル。新米軍人にして、王女直属のエリート護衛部隊に配属される。
栄誉ある任務なのだが、肝心の姫・テラスは引き込もりでオタク。
一応ティアラを乗せてはいるが、髪はボサボサで四六時中ジャージ。無駄にだだっ広いけど散らかり放題な自室にこもり、日夜ゲーム漬けというダメっぷり。口調だけは「〜なのじゃ」と姫様っぽい。
極度のめんどくさがりで他人とかかわり合いになりたくないので、なんとかしてハルを追い出そうと無理難題を突き付け、そのたびに騒動が起こる、という展開。

仕えるべき主人なんだけどダメ人間なヒロインに振り回される主人公、というドタバタ劇。
話ごとのテーマは部屋の掃除だとか姫様の買い物だとか鍋料理だとか、身近なところからキャラのアクションと個性で話を引っ張る作り。
ネタよりもキャラの動向を追っかけて読むのがなかなか楽しく、これで舞台とキャラの広がりが出てくればもっと面白くなったんでは?というところ。
基本的に二人だけで、ヒロインが引き込もりだから場面もあまり部屋の外に出ないしで。それでこんだけシチュエーションにおけるキャラの遊ばせ方がいい具合だと、もっと読みたいなと自然に思わせてくれます。

んでお姫様もかわいげが無いようでいていいキャラしてます。
いつも眠たいような目をして、姫様っぽくないフチの太いメガネつけてるし。
ギャグコメディなので基本的に3〜4頭身のギャグ体型ですが、ヒロインらしく高めの頭身で描かれると、むっちりして巨乳でなかなかエロい体してます。着ているのも上だけジャージなんで、素足のフトモモがなかなか良いのだ。
油断とスキのある色気と言いますか。
んで基本的にツンデレ。最終話のデレっぷりはなかなかにヤバい。ニヤニヤニヨニヨ。

マンガとしてはこの1巻で完結ですが、ハルの同僚たちや上司の十五夜少佐など、掘り下げれば面白くなりそうなキャラが脇に控えていたりもするし、もうちっと話を広げてみても良かったんじゃないかなぁというのが惜しいところ。
最終話に至るまでにもうちっとラブコメ展開あっても良さそうだったし。ちょいと煮え切らない気もする。
でもまーテラス姫のフトモモむちむちだし、まぁいいや、とも。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

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2010年03月29日

ゾンビ!エログロ!スプラッタ!悪趣味ホラー好きよ集まれ! 1巻目の「血まみれスケバンチェーンソー/三家本礼」


血まみれスケバン・チェーンソー(1)/三家本礼

オススメ度:★★☆☆☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◇◇◇◇
マニアック度:■■■■□
 

学級の支配者として、クラスメイトを改造しゾンビとして服従させ、やがては世界をも支配しようとたくらむ狂科学者女子中学生と、売られた喧嘩を買いケジメをつけさせてやるとゾンビの軍団に立ち向かうチェーンソースケバンとの血みどろなバトルを描くスプラッタアクション。
なんかもう、相変わらずで逆に安心するというか。
突き抜けた悪趣味さとホラーとギャグ風味が全開でもう。1巻読むだけでおなかいっぱい。

 
死体改造という特技を持ち、色々とイっちゃった狂科学者にして暴君気質の女子中学生、碧井ネロ。
自分の素晴らしい研究成果(動く死体ネコ・キャタピラ付き)のせいでイジメに遭い、その復讐として学級を支配するべくクラスメイトを次々と改造してゆく(改造されても学校には通ってます)。
やがてクラスの生徒全てを支配下に置き、ゾンビ軍団としてチームを結成。しかしクラスの中でただ一人だけ、碧井ネロの配下とならなかった少女、鋸村ギーコ。
解体屋の娘でサラシにフンドシ、下駄履きという生粋のスケバンである彼女にも、ネロ配下の改造クラスメイトの手が伸びるが、これを巨大チェーンソーで一蹴。
そして鋸村ギーコは、ネロのアジトを目指す、てな内容。

こんだけあらすじ書けば、もうすでにいろいろとぶっ飛んでるのが分かると思いますが、全編を通してハイテンションかつある意味ギャグのような、グロとスプラッタとフリーキー満点。苦手な人は絶対にダメな系統ですな。
しかしグロで酷いというだけでなく、B級ホラーとしての自覚を持った不条理なギャグも、シチュエーションとして炸裂しておりまして。
何をどうやったらこんなコメディシチュ思いつくんだと。グロとスプラッタのある笑い。もっぺん言っておきますが、この悪趣味具合、苦手な人は耐えられないはず。
しかし怖いホラー、ではないんですな。
グロと悪趣味フリーキーなんだけれど、コミカルでナンセンス。

あとB級ホラーのお約束として、変に女性がエロかったり、サービスカット入ったりしてます。
内容ひどいのにたまにエロいとかもうタチ悪い。

いちおー前述の設定もあるんですが、話としてはひたすらにぐっちょんぐっちょんでぶっちょぶっちょのグロいバトルが続く感じ。
しかしこの作者をかねてから知ってる人にとっては、相変わらずでなんか安心しちゃうんだよな。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 23:43 | トラックバック
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2010年03月27日

生々しすぎる性の目覚め!悪夢のようでいてどこかにそれを望む自分を見つけるかも?? 1巻目の「惡の華/押見修造」


惡の華(1)/押見修造

オススメ度:★★★★☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◇◇◇
マニアック度:■■■■□
 

フランスの詩人が好きな読書少年が、性の欲求に負けてたった一度の過ちを犯してしまい、その現場を一人の少女に見られてしまっていたがために倒錯的な二人の関係が始まる、というドラマ。
ハプニングをきっかけに巻き起こるドタバタ劇のようでありつつ、少年の性の目覚めと、変態的な欲望を一人の少女によって暴かれるという、なんだか文学的な毛色も持つ作品。
悪魔のような彼女に対して「アリだな」と思ってしまったら色々と危険。しかしそうと分かってはいるのだが……。

 
主人公、春日高男は中学二年生。おとなしい性格で本が好きな文学少年で、ボードレールを愛読している。
そんな彼がある日、放課後の教室で、憧れのクラスメイトである佐伯奈々子の体操着を、どうしようもない衝動に駆られて盗んでしまう。
激しく後悔する高男だが、同じくクラスメイトの仲村佐和に目撃されていたことが発覚。
仲村佐和は、美人なんだけど表情は冷たく何を考えているかわからないし、教師にも暴言を吐きテストの答案を白紙で出すような変人で、クラスの嫌われ者。
そんな仲村佐和は、高男に対してある契約を持ちかける。というストーリー。

性格のひねくれた佐和は、高男という「変態」を見つけたことで、この変態が何を考えてどんな思いで何をしているのか、その1点に興味があるようでして。
対する高男は、困惑してただひたすらに佐和を嫌悪するばかり。しかし弱みを握られているだけに、戸惑いながらも彼女の指示に従ってしまう、という展開。
人間の持つドロドロとした欲と性を知りたくてたまらない佐和と、自分の内面の変態性に気付いてすらいない高男。
やがて佐和の指示は、より変質的にエスカレートしてゆく。
彼女の「私はただ見たいの 死ぬほど見たいの ガーーーッっていう真実の変態が」という言葉が強烈です。

展開をなぞってみるとそこらの美少女エロコメにでもありそうなストーリーですが、読んでみると生々しい重さのある作品。
思春期にありがちな、欲求に負けて間違いを起こし、後悔と反省から世界が全部敵になってしまったような、あの後ろめたさと恐怖を伴なう罪悪感が実に見事に描かれていまして。歳をとればかわいらしい笑い話として振り返ることができるような、青臭い少年の情念があふれてくるんですな。
性の目覚めと変態性の自覚と発露というテーマであるため、一人の男性としての、思春期における痛々しい記憶を呼び起こされるようでもあり、思い出したくも無い体験と作品のモチーフがシンクロすることで、あの頃に感じた恥ずかしさと懐かしさが同時に沸き上がってくるようなマンガとなってます。

そして仲村佐和の悪魔のような性格が、認めたくないけどひどくいいんですな。えらくかわいいだけにタチが悪い。
無自覚的な性の衝動に対して「それは変態だ」と指摘された挙句にその感想を語ってくれとか、確かに中学時代に言われたら、高男同様にもう世界に対して絶望するしか無いかもしれない。
しかし心のどこかで、異性に対して自分の欲望を暴露されたい、支配されたいというような、倒錯した思いも芽生えてくるようでして。
色々と罪作りです。
ほんとこの作者の、性に対する捉え方と描き方は面白い。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 22:58 | トラックバック
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2010年03月26日

絶望的運命に立ち向かう人類!窮地の連続に目が離せない! 1巻目の「進撃の巨人/諫山創」


進撃の巨人(1)/諫山創

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◆◇◇
マニアック度:■■■□□
 

100年前に突如現れ、人類を一方的に殺戮する巨人の闊歩する世界。
人々は巨人も超えられない巨大な壁で自らの生活圏を囲い、自由と引き替えに仮りそめの安全の中で暮らしていた。
ところがその日、壁をも乗り越えるような今までにない大巨人が現れ、人類は再び襲撃を受けることとなる。
異様な怪物により人類の存亡も文明も緩やかに後退してゆく世界の中で、絶望的な強さの巨人に挑む主人公達の物語。

 
設定として、「巨人」はあまり動作も素早くなく、知能も無い代わりに圧倒的な怪力と再生力を身につけており、ほとんど全ての武器は有効に利かない。
意思の疎通は完全に取れず、人間はただ彼らの餌として一方的に殺戮されるままとなっており、大多数の人々は世界がどうなっているのかも知らず、巨大な壁の中で暮らしている。
巨人に対抗する兵士たちは、壁の外に出て外界の調査と巨人の謎を探る「調査兵団」。壁の中で市民を守り壁の補強にあたる「駐屯兵団」、そして王の元に仕える「憲兵団」となっている。

大巨人の出現により、100年もの間破られることの無かった「壁」が壊され、人類の活動圏が大幅に後退。そしてその悲劇に見舞われ、巨人を地上から駆逐してやると心に誓った主人公のエレンとカレン。二人の目線でドラマは進行。
しかし話としては、為す術もないほどの強大な力の前に次々と喰われていく人々と、巨人に対する怒りと憎しみと、同じくくらい大きな絶望と恐怖が全編に満ちております。

世界観と設定やらなんかは何かのゲームになりそうな、枠組みのかっちりしたものではあるんですが、ちょいと煮詰め方が足りないかなぁという印象。作画もかなり粗く、ビジュアル面も弱い。
が、しかし、エレンを通して描かれる、この世界に満ちた恐怖と絶望と、人類全体を覆い尽くすような諦念とが、ページから漂ってくるようでして。
加えて、一方的に人間を襲い、登場人物一人ひとりの夢も希望も愛する人も、容赦なく飲み込み食い散らかす巨人たちのおぞましさもインパクトがありまして。
世界の終末も近いのかというような、種として追い詰められた人類の姿は、描写が直接的な分だけ妙に生々しい。
全体に荒削りなのに、描かれる惨劇の光景に思わず目を向いてしまう、そんな作品です。
畳み掛けられる悲劇の果てに、彼らがどうなっていくのか。巨人と世界の謎もまったく明かされておらず、この先どうなっていくのかまったく読めません。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 23:42 | トラックバック
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2010年03月24日

あったかくてほっこりできる4コマ。たまにはこういうのも読みたくなるのだ。 1巻目の「ヒツジの執事/ナントカ」


ヒツジの執事/ナントカ
全1巻

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◆◆◇
マニアック度:■■□□□
 

郊外にある大きなお屋敷の、優秀な執事であるヒツジのサフォーク氏と、彼が仕える幼い当主のミニ様、女中頭のミセスコリーなどなど、屋敷の中で外で巻き起こる使用人たちのコメディ4コマ。
動物コメディでありつつ、メイド・執事モノでありつつホームコメディ。全体として安心して読める作り。

 
一応、舞台としては未来の月面に築かれた都市ドームの内部で、二足歩行して人間のように暮らす動物達の社会、という設定はあるものの、とりあえずはそのへんすっ飛ばして「かわいい動物擬人化4コマ」として楽しめる作品。
また、赤ん坊の身でありながら家族を無くし、小さな当主を使用人みんなで愛情たっぷりに育ててゆく、というバックボーンも、ことさらに悲哀と情のドラマとするわけでもなく、お気楽なホームコメディとなってます。

ネタのモチーフは割合に幅が広く、生真面目だけどちょっとだけ秘めた恋を持つサフォーク氏に、美人だけれどおっかない女中頭や無邪気なミニ様などなど、キャラクターコメディの様相を呈したかと思えば、サフォーク氏が田舎へ帰省した時の、いかにも日本の田舎のような日常系あるあるネタやったり。
どれも肩肘張らずにすんなり読めるのだ。

4コマとして馴染みやすいシンプルな作画も相まって、年齢性別問わず誰もが読めて誰もが一様に楽しい作品。
ネタがやや無難なところは、キャラクターの印象でカバーする形になっているため、以外に飽きないのだ。
そしてなんつっても、ミセスコリーだわな。
動物キャラ好き、いわゆるケモナーにはグッと来るものがあるのだ。おとなしい美人で使用人としては厳しいけれど、迂闊なところでやたらに乙女してたりとか。かわいい。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

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2010年03月19日

ノリノリゴーゴーで突っ走る!頭の中空っぽになるハチャメチャ学園コメディ! 1巻目の「みんなミュージカル!/アサイ」


みんなミュージカル!(1)/アサイ

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◆◇◇
マニアック度:■■□□□
 

ヤンキー系美少女に名古屋弁ブロンド白人に純情熱血女教師などなど、やたらに濃いキャラばかりで送るハイテンション高校生シチュエーションコメディ。
ストーリーとして何かが起こっているわけでもないのに、なんだかやたらと楽しい内容。
名古屋弁白人ギャルがみゃーみゃーにゃーにゃー言っててかわいいのだ。

 
何か特別な個性やら能力を持っているわけでもないのに、やたらに主張の強い登場人物達が暴れまくるギャグコメディ。
入学式の朝の通学風景で一騒動起こったり、体育の授業前の更衣室の着替えのさなかにパニックが発生したり。
ある特定のシチュエーションを設定したら、そこから場面や時間をあまり移さずに、キャラクターを好き勝手に動かしまくり密度の濃いドタバタな会話劇を展開するという作り。
ともすればクドくなりそうなくらいに、シーンあたりのネタの詰め込み方が多いのが特徴。

加えて、ハチャメチャに飛んで跳ねて動き回るキャラと全体の賑やかさに対して、作画は非常に整っておりまして。
マンガ的なコメディ表現として露骨なディフォルメと崩しが入るのは人物の表情くらいのもんでして、カラダと手足や背景、衣装に小道具類はかなり書き込まれています。
このような作画による均整の取れた統一感がありながらも、マンガとしての中身自体はスラップスティックであるため、アニメや舞台であるようなコメディ劇を見ている印象に。
あと、高校での日常というテーマから大きな逸脱をしないため、ネタ自体に過度の飛躍は無いんですが、写実的な背景の中でドタバタやるため、映像としてのコメディを読むような楽しさがあるわけですな。

とりあえず何も考えずに勢いだけで読んで楽しめる作品。そこそこにサービスシーンもあったりするし。
んで方言丸出しで気弱な白人ブロンド少女がよろしい。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 23:31 | トラックバック
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2010年03月18日

ヘンテコでも父さんはエライ!なぜなら父さんだから! 1巻目の「響子と父さん/石黒正数」


響子と父さん/石黒正数

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●●○
万人向け度:◆◆◆◆◇
マニアック度:■■□□□
 

イラストレーターの長女、年金暮らしの父親、旅行好きの母親、そして家を出たきり行方不明の次女。
色々とちょっと変な父親を中心に、仲良くおかしな騒動を繰り広げるホームコメディ。
困ったことをしでかしては家族を振り回すけれど、それでも父親は父親。温かくてちょっと笑える作品。

 
岩崎家の主・幸太郎は定年退職して昼間から庭で模造刀を振り回すようなお父さん。
お母さんはしょっちゅう旅行に出ており、よく家を留守にしている。
イラストレーターである長女の響子は実家のすぐ隣のマンションに暮らし、次女の春香はわけあって行方不明に。
暇を持て余す父親は、在宅家業の響子と一緒に過ごすことが多いものの、自分勝手でちょっとばかりすっとぼけており、娘と母親は振り回されてばかり。
しかし家族の心中は、5年も音信不通となった春香のことが常に気がかりで……。という内容。

人のいい父親だけど発想が常に飛躍しちゃってるような父親を中心に、ほのぼのとしたコメディ劇を展開するものの、節目節目において家族と父親の在り方をふわりとさりげなく見つめ直すような作りになっており、読んでて和むのだ。
コメディとしてぶっ飛んだ父親というわけではなく、勝手な価値観を持ちながらもちゃんと人の親であり、娘を育ててきた責任と経験を背負っており、なにより家族が大切という姿が頼もしいんですな。
ちょっと変なんだけれど憎めない、そーいう父さんです。

石黒正数作品では、こーいった「他人を振り回す変な奴と、振り回されるツッコミ役」というような主役コンビが多いですが、なんのかんのとぎゃあぎゃあやりながらもみんな仲が良い。
それでいてマンガのキャラとしてやりすぎているところが無いと言いますか、「身近にこーいう奴がいたら、色々と大変だろうけどきっと楽しいだろうな」と思わせてくれるところが良いですな。
この父さんも、父親像のひとつとして、自分の親と比較してみるといいかも。
……比較してみたが、うちの父親もたいして変わらないような気がする。いや警察の厄介になったりはしてないが。

巻末には、前作の「ネムルバカ」とリンクする番外編を収録。これもなかなかに良い一編となっております。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 23:50 | トラックバック
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2010年03月17日

女の子の日常は、眺めているだけでも楽しいのだ 1巻目の「少女素数/長月みそか」


少女素数(1)/長月みそか

オススメ度:★★★★☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◆◇◇
マニアック度:■■■■□
 

海辺の下町で輸入雑貨を営む家に暮らし、フィギュアの原型師である兄を持つ双子の少女を中心に、彼女たちの送る日々を季節の移ろいと緻密に描写された風景の下で描くホームコメディ作。
言うなればまぁ、「萌えと少女のよつばと!」でありましょうか。
美しいもの、かわいいものは眺めているだけで満足、という父兄の目線になる作品。

 
黒い髪に碧眼の、少しおとなしいほうがすみれ。ブロンドで少しやんちゃなほうがあんず。
二卵性の双子である彼女らはこの春から中学生。まだまだ子供で恋を知らず、姉妹で一緒に遊んでいるのが楽しい年頃で、お兄ちゃんが大好き。
そのお兄ちゃんは、知る人ぞ知るフィギュアの原型師であり、家庭にあっては双子の父親のような立場。ヒゲのせいでちょっと老けて見られたり。
そして他の家族や、仲良しの有美ちゃん、気になる男子のぱっクンなどなど、毎日の暮らしと学校生活との中での、日常のささやかドラマを描いていく内容。

漁船に乗ってイルカを見に行ったり、友達と水着を買いに行ったり、浴衣を来て盆踊りに行ったり。
そういった、何気ないけれど充実した日々の中で見せる、女の子たちの普段のままのかわいさと少女性をたっぷりと盛り込んだ漫画でして。
ひとつひとつのポーズから衣装から陰影と塗りの具合まで、非常に手の込んだ作画をあますことなく堪能したい。
ドラマ自体は、多少の恋の波乱もあるものの淡々と抑揚無く展開するため、さらっと読んでしまうとそれまでだが、1コマ1コマを「かわいい女の子と絵」という点で見ていくと、いくら時間があっても足りないくらいであり、コマ単体がピンナップか何かというくらいの見栄えになっています。
背景と小道具類の描写も非常に凝っており、構図がアップだろうとなんだろうと、全てのコマの8〜9割に緻密な背景が描かれております。

登場人物のキャラクター性はコミカルでディフォルメの効いたマンガキャラであるものの、少女たちの繊細でリアルな肢体を再現した作画に、写実的で生活感のある背景。
この組み合わせが、兄の言葉を借りれば「まるで妖精のような」幻想としてのマンガのキャラクターである少女たちの、密かな日常をこっそりと覗き見て観察するような、そんな楽しみのある作品。
触れてはいけない。関与してはいけない。だからこそ大事にできる世界。

比較として「よつばと!」を挙げましたが、あれとはまた少し毛色の違う、共同幻想としての平和な萌えコメディといったところか。
露骨なエロ描写も少ないしね。けど少ない分、ちょっとした着替えのシーンが妙に目に焼き付いたり。
しかし、きららのフォワードレーベルの非4コマ長編作なのでB6版なのは分かるけど、ここまでの作画だったらA5版で読ませてもいいような気がする。ちょっとだけそこが残念。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 23:10 | トラックバック
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2010年03月16日

京都の町並みや日常との調和が心地よいアクションコメディ 1巻目の「京洛れぎおん/浅野りん」


京洛れぎおん(1)/浅野りん

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◆◇◇
マニアック度:■■■□□
 

ゲームの得意な少年、鉄汰は、高校入試のために向かった京都市内にて、あらゆる物を食べてしまう不思議な化物と遭遇する。
同時に、ある「適性」を認められ、ほとんど拉致同然に化物退治の仲間に加わることとなる。
鉄汰の役目は、化物と戦う小学生の少女・千鳥と感覚を共有し、彼女に向けられるダメージの肩代わりを行い、露払いと戦闘の指示などのサポートを行うこと。
かくして、鉄汰と千鳥の凸凹コンビによる、京都市内の化物退治が始まる。

 
全体的にキャラクターコメディの雰囲気を持ちつつ、そこに長編要素として化け物退治にまつわるストーリーが絡んでいく感じ。
鉄汰の両親が当初から役目と適正について知っていたり、そもそもこの化け物退治専門の一団がなんなのかということも不明だし、謎は多く長編の種はあちこちに撒いてあります。
というか、最初から語って聞かせれば済むような、読者への設定説明をとりあえず後回しにして、キャスティングとコメディ劇としての土台を固めたという印象。
若干不親切ですが、そのおかげでコメディとしてはかなり読みやすい。

また冒頭が京都市内へと向かう電車の中であるように、京都という土地を強く意識した作品。
作中の登場人物はほぼ全員が京都弁を用いており、扉絵や背景には京都の風景が多数用いられております。
同時に、ファンタジー要素のあるアクションであっても、2話目以降におけるシーンの大半は学生の日常風景の中で起こるキャラクター劇でありまして。
これが京都の風景や京都弁と重なることで、具体性と生活感のある立体的なキャラクターとして、それぞれが立ち上がってくる印象に。

アクションドラマのほうは、愛嬌のある化物のデザインに加え、いまひとつ締まりのないお菓子好きの指導者、スラップスティックでギャグっぽいバトルとコミカル路線。
しかしドタバタとやりつつも、アクションのシーケンス自体はなかなかうまく構成されており、読み飛ばすようなことになっていないのは良いポイント。

そうか、なんだか全体として高橋留美子っぽいなーと思ったのは、生活感のある日常+ギャグ混じりのファンタジーアクション+キャラクターコメディ、といったあたりのためか。

ストーリーは、高校へ入学し寮生活を始めた鉄汰と、寮や学校での仲間たちとの間で繰り広げられる学園コメディの方向へシフトしつつも、彼らと対立することになる一団の登場とともに、ツンケンしつつも仲良くなっていく千鳥との関係を読んでいく展開。
釣り目でいつも不機嫌そうな顔で、ちびっこなのにぴょんぴょん飛び跳ねる千鳥がかわええねぇ。
それにしても任×堂ってすげーな。実はそうだったのか……。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

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2010年03月15日

ノスタルジックでファンタジック。日常と非日常との間にある喧騒が心地よい! 1巻目の「水面座高校文化祭/釣巻和」


水面座高校文化祭(1)/釣巻和

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●●○
万人向け度:◆◆◆◇◇
マニアック度:■■■□□
 

とある高校の文化祭の一日を通して巻き起こる、数々の不思議な騒動をそれぞれの目線から描く作品。
いつもの毎日が特別な日へと替わる文化祭。そんないつもと違う一日の裏側で、本当に非日常的な事件がそこかしこで起こってしまうというストーリー。
ここへ帰りたくなるような、そんな郷愁を感じつつも、賑やかな光景が実に楽しく、そして不思議でおかしい。
いろんなシーンを何度も読み返したくなる作品です。

 
ストーリーは、文化祭を明日に控え、準備で大忙しの前夜祭から始まる。
生徒たちの声が重なり合う中で頼もしく飛び回っているのは、文化祭実行委員長の花屋敷都。ちびっ子ぽいがしっかりもので実に元気で八重歯かかわいい女の子。
そして迎えた文化祭当日。雨が降ろうが槍が降ろうが決行、となったその日は、委員長も他の生徒も知らないところで数々の事件が起こるのだった。
てな展開。

文化祭の当日に起こるドラマを、一日分の長編ストーリーとする内容で、それぞれの話は主人公を代えて独立して進行。その背景に、委員長の都を始め校内の登場人物が色々と登場するという作り。
各話ごとの主人公となるのは、気の弱い霊感少年、校内のおばけ達と透明人間、生徒会長に振り回される補佐の女の子などなど。
彼らがそれぞれに、文化祭の喧騒の中で学校のピンチに立ち向かい、純な恋愛を語ったりするわけです。幻想のドラマなんだけれど、お話のテーマも色々ありまして。
しかしそのどれもが、当人たちの心の問題に深く根ざしており、彼らが自分の内面と向き合い、少しだけ成長してゆく。そんな物語なんですな。

自分自身を見つめ直し変化と成長を見せる登場人物。そして、この水面座高校を巡る謎と危機。
ノスタルジックでひどくセンチメンタルになれるのに、フシギなファンタジーでありつつ、ジュブナイル。
非常に丁寧に、かつ細かなとこまで描かれた作画は、文化祭の校内の騒々しくも楽しい景色を色鮮やかに盛り上げつつも、その校内自体をまるで別世界のようにに彩っておりまして。
日常と非日常の混在とそこにあるドラマとが、忘れられないくらい独特な雰囲気を醸し出しております。
ふわふわっとした楽しさがありつつも、どこか切ない。そんな不思議な読後感を味わえる作品。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 22:17 | トラックバック
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2010年03月12日

アツく、爽やかで、少し切ない。頑張る女の子のサッカー漫画。 1巻目の「さよならフットボール(1)/新川直」


さよならフットボール(1)/新川直

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●●○
万人向け度:◆◆◆◆◇
マニアック度:■■□□□
 

とある中学の、新人戦を控えた男子サッカー部。主人公はそこで男子に混ざりサッカーに励む一人の女の子。
誰もが羨むテクニックを持ちながらも、成長期を迎えた男子との体格差が日に日に大きくなりつつも、試合に出たいという強い思いを胸に練習に励み、そして新人戦の当日がやってくる、という内容。
成長とともに心身ともに変わって行く少年少女達と、変わらない熱い想いをサッカーに乗せて語る漫画。
なんとかしてあげたいけど、どうにもならない。でも、何か起こるかも知れない。そんな期待感を抱かせる展開です。

 
主人公は、14歳の少女、恩田希。幼い頃から、自分の弟や仲の良かった男の子たちとサッカーを続け、その中では誰よりもサッカーが上手く、男子にテクニックを教えてあげる立場だった彼女。
中学生となり皆と同じ男子サッカー部に入るものの、体格差という壁は大きく、試合には出してもらえない。
それでも連日、体格差を埋めるように誰よりも練習し、監督に対して新人戦に出場させてくれと頼み続ける彼女。
仲間達も監督も、みんな彼女の気持ちを理解してくれてはいるが、現実は厳しい。
そして、対戦相手の学校には、小さい頃はチビで下手だったのに、久しぶりに会ったら背も高くサッカーもうまくなっていたという、転校していったかつての仲間の一人がいた、というストーリー。

女の子だてらにサッカーに挑むという漫画ではあるものの、美少女が並み居る野郎どもをこてんぱんにうちのめすというものではありません。
男女の別なく遊び、サッカーに打ち込んでいた頃から徐々に変化していく互いの関係とカラダ。それが決定的となる前に、もう一度だけなんとかしたいという、ちょっと切ないドラマなんですな。
んで、希の周囲の男の子達にも、以前は無邪気に遊んでいたはずなのに、年頃となり芽生えてくる恋心。
その恋を彼女に知られぬよう、内に秘めつつも、希の代わりにライバルを倒し、自分のほうを振り向いてもらおうと静かに情熱を燃やしたり。

14歳という年齢を迎えた少年少女達が、いつまでも子供のままではいられないのかもしれない、という自覚に対し、でも今だけはどうにかしたいという葛藤や努力を見せる作品でして。
自分たちの成長について意識を持つその一瞬の時期において見せる姿を、サッカーを通して描いているのですな。

全体の印象自体は実に爽やかなスポーツ漫画ですが、思春期を迎えた少年少女達の胸に去来する、大人への歩みと異性への想いを丁寧に描いて見せる漫画でもあります。
全2巻で完結のようですが、ドラマとしては確かにそのくらいの尺できれいに締めくくったほうが良さそうではあります。
誰もが子供のままではいられない。これからどんどん、希と一緒に遊んでいた男の子達との違いは大きくなっていく。
その事実に対して、彼女はどういった行動をとり、どう自分自身の中で決着をつけるのか。「さよなら フットボール」という表題自体が寂しげな予感を誘いますが、結末を見守りたいですね。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

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2010年03月11日

ついに野中英次が本気を出した!2010年代のナンセンスギャグが花開いた! 1巻目の「赤い空 白い海/野中英次」


赤い空 白い海/野中英次

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●●○
万人向け度:◆◆◇◇◇
マニアック度:■■■■□
 

「魁クロマティ高校」「だぶるじぇい」の野中英次による、good!アフタヌーン掲載の短篇作を集めた内容。
これまでの野中英次よりもさらに無軌道かつ自由自在なギャグの世界が広がってます。
この作者はほんとーに、2000年代を代表するギャグ作家の一人となるのかもしれない。いや、すでになっているのかも。

 
ストーリーやシチュエーションにおいて、連続性や統一性がないショートコントがずっと続く印象ですが、どれも一様に味のある作品ばかりでして。
モチーフも普通の会社員同士の会話から、未来世界のだったりシチュエーション自体がSFしてたりフリーダム。
おまけにページ数さえも、2ページから16ページ超と幅広く、思いつくままに好き勝手にやっているようで。
ネタは相変わらずのナンセンスギャグですが、発想そのものが加工されずにそのまま漫画になったような、そんな印象を受ける漫画ばかりです。

前作まででもかなり好き勝手やっていましたが、今作では話ごとに独立した短編連作であるため、完全に設定やストーリー、登場人物、そしてページ数さえもまったく考慮しなくてもよいようになってます。
そのために、描かれるギャグのひとつひとつが、野中英次の脳内直送といった感じで読めるんですな。
様々な制限から解放された作者が、一体どんなものを描いてくれるのか。
そしたらこんなものが出てきてしまった。ナンセンスの極致かもしれない。そう思わせてくれます。

1巻収録作の中では「2階と5階」「地球最後の夫婦」あたりがお気に入り。
シュールなのかSFなのかホラーなのかというスレスレのところでギャグにしちゃう、というのが大好きだ。
絵柄も絵柄だし、そもそも笑いについては好き嫌いに左右されるところも多いんで、手放しに誰も彼もに読んでもらいたい漫画ではないですが、ギャグと笑いに興味があるならこれは読んでおく価値のある内容です。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

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2010年03月10日

異彩を放つ主人公が光る!華もドラマもある本格格闘技漫画! 1巻目の「鉄風/太田モアレ」


鉄風(1)/太田モアレ

オススメ度:★★★★☆
俺これ好き度:●●●●○
万人向け度:◆◆◆◇◇
マニアック度:■■■■□
 

何をやらせてもソツなくこなす、恵まれた身体能力を持つが、そのために日常に退屈しきっていた主人公の女子高生が、ある一人の転校生との出会いをきっかけに総合格闘技の世界に足を踏み入れることになる、という作品。
自分の才能をひけらかし、態度もでかいに性格も悪いという、普通のスポーツマンガならば悪役やライバル格になりそうなキャラをあえて主人公に置くという内容でして。しかしキャラ設定の奇抜さに頼らず、本格的な格闘技マンガとしての読み応えも兼ね備えた一品。

 
物心ついたときから、ちょっと教わっただけでスポーツ全般をなんでもこなすことができた長身の高校生、石堂夏央。
一年生ながらスポーツ名門校のバレー部ですぐにレギュラーを勝ち取るほどだが、それも退屈しのぎと一蹴する彼女。
なんでもできるがために周囲からの理解が得られず、そのために孤立を招くが当の本人は馴れ合うのも仲良くするのも嫌、という娘でして。
そんな退屈し切っていた彼女の前に、格闘技部を設立した帰国子女、馬渡ゆず子が登場。
無邪気で天真爛漫で、いかにも日々を楽しそうに送っていますという表情のゆず子が気に入らない夏生は、体験入部と称して彼女を打ちのめしてやろうとスパーリングを行うことになるが…。
という導入部。

何らかの格闘技経験はあるものの、ゆず子にはまだ到底叶わないと悟った夏央は、総合格闘技について取り組みだし、研究と努力を重ねる決意をするわけでして。
その姿勢は真摯なのに、その動機が「イラつく無邪気なあの顔をグチャグチャにしてやる」というような不純極まりないのがこの作品の特徴。
彼女は才能を持て余し退屈しきっているがために、充実している人間が心底大嫌い、という非常にひねくれた性格でして。孤立気味だが一応クラスに友達もいるし、話してみればちょっとクールだけどいたって普通の女の子。なのに何故か、他人を見下し自分の足元にひれ伏させることに目的意識を見出す、という妙なところで歪んでおりまして。
言うなれば「努力する悪役キャラ」というやつ。

ストーリーは、鮮烈な登場を見せるブラジル人の女の子、リンジィ。夏央と過去に因縁を持つ空手部の早苗。そして片桐はいり似の女子プロ総合格闘家が登場し、夏央を巡る周囲が慌ただしく動き出すという流れ。
んで、もう1巻目読んだら我慢できずに、同時発売の2巻目まで読んじゃったから言うけど、総合格闘技と女子プロの世界。そして道場そのものを巻き込んだ対立に、夏央の過去の片鱗と、ずっと飽きずにドラマティックな展開が続きます。
1巻目だけでもおもしれーと思ったが、2巻目に入ってもまだおもしれー、すげー、と興奮しきり。

もちろん、本格的な総合格闘技の作品だけあって、立ち技と寝技の基本からトレーニングまで詳細に描き、かつアクションシーンも非常にわかりやすく、ドラマ性とアクション性と、スポーツマンガとしての楽しみもある贅沢なマンガとなっています。
しかしまぁなんつっても主人公、夏央の存在感だよなぁ。その長身から相手を見下す目線がゾクゾクするのだ。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

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2010年03月09日

やっぱり沙村広明にはギャグコメディがよく合うな! 1巻目の「ハルシオン・ランチ/沙村広明」


ハルシオン・ランチ(1)/沙村広明

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●●○
万人向け度:◆◆◆◇◇
マニアック度:■■■■□
 

ホームレス寸前となったひとりの男と、なんでも食べるし食べたら吐いて合成するし、という美少女宇宙人とその他色々とにより繰り広げられるギャグコメディ。
良い意味で場当たり的なシチュエーションコメディを、アナーキーな香りで包み込み、高い作画レベルでまとめあげた作品。
ドタバタしつつもどこか拍子のずれたテンポが心地よいのだ。

 
主人公は40歳の男性。ヒゲの似合うダンディだが、ちょいワル風のナイスミドル。小さな会社の経営者だったが金を持ち逃げされホームレス寸前に。
そんな彼が後のあてもなく川原で釣り糸を垂らしていたところ、何もないところから一人の美少女が登場する。

彼女の名前はヒヨス。きょとんとした顔がかわいく、一見すると人畜無害の天然風おとぼけ少女だが、食べ物だろうがそうでないものだろうがなんでも食べるクセがある。
そして食べた物は嘔吐とともに吐き出すことができるが、その際食べていたものを合成することができる。そんな宇宙人のヒヨス。

んで、ちょいワルホームレスと天然美少女宇宙人と、ツッコミ役兼準ヒロインで、理系サブカルヤンキー女のメタ子(19歳)、金を持ち逃げしたメガネオタクダメ男、ヒヨスのご同類などを加え、SF風味なのにどこかいまひとつしまりのないスラップスティックを展開する内容。

一応キャラの関係は色々と進行していくものの、ストーリー要素はあまり無く、川原の出会いの際に起こったトラブルに始まり、持ち逃げ男を追ったあげくアパートを半壊させたり、ヒヨスの秘密を探るうちにゾンビ犬が出てきたり、食料を求めて廃品回収業者はじめたり。
んでそのどれもが結果的にカオスなことになるわけですな。

コメディ劇の端々で転がってるネタの数々が味付けとして楽しく、アニメ漫画からSFに音楽にゲームにとサブカルなモチーフが多種多様。これがまた脈絡も無く繰り出されるもんで、なんだかとってもアナーキーに。
加えて、定評のある作画レベルによりクリーチャー類や美少女もそつなくサービスされておりまして。
女性の肢体は特に良い。エロい。もっと見せろ。
あの絵でドタバタギャグやるからやっぱ楽しいんだよな。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

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2010年03月08日

古都を舞台に繰り広げられる、職人たちの優しい恋。 1巻目の「路地恋花/麻生みこと」


路地恋花(1)/麻生みこと

オススメ度:★★★★☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◆◆◇
マニアック度:■■■□□
 

京都のとある路地にある長屋。そこでは職人や芸術家の卵など、モノ作りに勤しむ人々が小さなお店や工房を構えている。
そんな職人長屋に暮らす人々とその周囲で起こる、ささやかな恋模様を描く短編連作集。
様々な職人達の、モノ作りの様子を興味深い読んでいけるとともに、静かなのにドラマチックで多様な恋愛ストーリーが堪能できる内容。

 
古くて小さな長屋を、それぞれ小奇麗におしゃれに利用している職人達。
手作り本職人に銀細工職人、画家の卵に挫折した小説家などなど。
彼らが日々を送る「職」とモノ作りをモチーフにしつつ、そこで出会う恋を語る作品でして。
体裁としては短編ながらも、舞台となる長屋は共通であり、前の話で背景として出てきた人物が、次の話では主役を演じたりという構成。

また個々の職人たちの職業を物語のテーマと絡め、作り出されるものをストーリーの仕掛けとして、登場人物の心情を代弁するかのような使い方をしてまして。
これが非常にうまいこと、それぞれの話と馴染んでいるのですな。
素材を溶かせばまた別の物に作り直せる銀細工を、何度も失恋しては新たな恋を探す女性に重ねたり、引用として語られる画家や小説家の作品や生きざまに、またキャラクターをかぶせてみたり。
そのため「職人」というテーマに無理が無く読めるんですな。

また銀細工だったり手作り本だったりという、手仕事の世界を細かく丁寧に垣間見ていく楽しさも有り。
キャラクターも一人ひとりがまたみんな悪い人いないため、手作業の職人さん達がみんな素敵に見えてくる漫画。
絵柄や話作りにも落ち着きがあるので、男性でも面白く読めます。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 23:27 | トラックバック
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2010年03月05日

魂の芯まで心を通わせながら、剥き出しの愛情と憎悪をぶつけ合う女達! 1巻目の「羣青(上)/中村珍」


羣青(上)/中村珍

オススメ度:★★★★☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◇◇◇
マニアック度:■■■□□
 

夫の暴力に耐えかねた一人の女が、かつて自分に好意を寄せていたレズビアンの女性に夫殺しを持ちかける。
その想いに応えたレズビアンは女の夫を殺し、そして二人の逃避行が始まる。
そして逃亡する二人が、逃亡を続ける中で出会う女性達と関わり、そこで紡がれるロードムービー調のストーリーに、次第に明かされていく女たちの過去と事件の様相。
ずっしりと読み応えがあり、よくできた映画を見ているような気分にさせてくれるヒューマンドラマ。

 
殺人直後に落ち合い、車に乗り込むシーンから始まる物語。それほどに互いに好意を抱いているわけでも、深い関係にも見えず、不可解な二人の逃避行。
罪を犯したにしては、会話の端々から冷静さが窺え、これから旅行にでも出掛けるような気安ささえも、どことなく漂っており。

しかし確実に、二人の間には「殺した者」と「依頼した者」としての、深い後悔と絶望が横たわっているわけで。
そして車を走らせるうちに語られる、二人の学生時代の馴れ初めとそこであった確執。逃避行の最中に出会う、処女を捨てたいコギャルや大きな過ちを犯した母親、さらにレズビアンの恋人などなど。
それぞれにそれぞれが抱えてきた人生の重みを感じさせるエピソードが続く構成。
そして、先行きの見えない逃亡劇に、ついに爆発する二人の感情。
過去のエピソードから見えてくる、女とレズビアンの間にあった、愛情と憎悪をそれらを混ぜて煮詰めたような秘めた想い。
巻き込んだ女の罪と後悔、そして、巻き込まれた女の喪失と悲嘆。血と骨までもさらけだすようにこれらをさらけだす二人。
このあての無い旅の行方は……。てな具合。

複雑な情が入り混じる二人の会話劇と、出会う人々とのロードムービーとして序盤は進行し、そして後半からはドロッドロの愛憎劇となる作り。
女同士の愛情という要素が全体に満ちておりながらも、描かれるのはズブズブとどこまでも沈み込んでいくような情念の沼でありまして。
事件の様相と彼女たちの歩んできた道のりが明らかになるにつれ、二人の内面が輪郭を伴って浮かび上がり、この物語にある深みのある色が見えてきます。

破綻した彼女たちの行く末にどうしようもない切なさが募りながらも、この先本当に破滅しか無いのか、それとも他に救いがあるのか。最後まで見届けずにはおれない作品。
ずっしりどっしりと胃もたれ起こすくらいに堪能できるドラマです。そのうち実写化しそうなくらい、質は高いです。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 23:59 | トラックバック
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戦争やバトルよりも、内政と文学に着目した三国志ドラマ!主役の曹操の息子、曹丕! 1巻目の「魏志 文帝紀 建安マエストロ!/中島三千恒」


魏志 文帝紀 建安マエストロ!(1)/中島三千恒

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◆◇◇
マニアック度:■■■■□
 

時代は建安。古代中国において後に三国志に語られる、群雄割拠の最中の魏国。許昌に暮らす曹操の息子、曹丕は二十五歳にして魏の副丞相に任ぜられようとしていた。
そんな王宮内での、政治と文化と文学や曹操一族の興亡を、曹丕のコメディタッチな日常ドラマとともに描く作品。
三国志モノとして主役を張るには珍しいキャラであり、争いよりも青年文官の賑やかな日常、といった具合。しかしそこにやがて権力争いの波風が立つようになり……、という展開。

 
曹丕は文武に秀で家臣の信頼も厚く、父親である曹操の下で戦場に出たこともあるし活発な好青年だが、詩歌を嗜み宝玉集めに目がない、という少々オタクな子、という描かれ方。
弟である曹植は、後に詩聖と呼ばれるほどの文学者となるが、今のところは天才と謳われながらもまだ幼さの残る少年として登場。

魏国と曹操の活躍をあくまで時代の背景としてなぞりつつ、曹丕が送る賑やかでコミカルな日常の中で、彼が垣間見せる政治や文学に対する物の見方を語る導入となってます。
やがて司馬懿の登場と、曹丕や曹植の家臣達が、主のあずかり知らぬところで起こす権力争いと、政治に対する考え方の違いを見せる兄弟の姿を見せる1巻目に。
とは言っても、よくある三国志モノのような英雄譚やアクションドラマではないのが特徴。夏侯惇は出番もちょっとだけの脇役だし、馬超はモブキャラのごとき扱いだし。その代わり司馬懿、楊修、陳羣といった、文官達がクローズアップされております。

三国時代の武将たちの、ホームドラマ的な和気あいあいとしたコメディ劇と、歴史と時代の流れの中で起こる政治劇とのバランスがなかなかによく、曹丕や曹植、司馬懿といった主要な登場人物はいかにも今風の漫画キャラなので、やってることはけっこう入り組んだ人間関係の中で起こるストーリーなのに、重さを感じさせない作品となってます。
加えて、詩歌の引用や書物に残る玉の紹介など、三国時代における文化や文学もエピソードに織り込み、背景から小道具から衣装までしっかりと書き込んである為、古代中国マンガとしても読み応えがある作り。
軽く読める印象なのに、内容はなかなかに重厚です。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

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2010年03月03日

ハッタリで人を動かし人を集める面白さ!ゲームクリエイターが温泉宿を救う!? 1巻目の「限界集落温泉/鈴木みそ」


限界集落温泉(1)/鈴木みそ

オススメ度:★★★★☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◆◇◇
マニアック度:■■■■□
 

老人ばかりの過疎の村。廃業寸前の温泉宿に暮らす父親とその息子。
借金のかたに温泉宿を潰されようとしていたそこに、会社から逃げ出しホームレス同然となっていたゲームクリエイター、自殺を匂わせやってきたメンヘラ気味のネットアイドル。などなどが集まり、知恵と工夫でこの温泉宿を救おうという話。
前作の「銭」等のルポによりで培われた、オトナの世界と金儲けと人集めの仕組みを取り込み、ある意味汚くもあるその手法を、善性のものとして活用してみせるフィクション。

 
お湯だけはふんだんにあるが客のいない温泉宿。そこに住むのは、小説家志望だが生活力の無い父親に、その息子である龍之介。
その温泉宿が、過疎の村の権力者に目をつけられ今まさに人手に渡ろうかというとき、東京から逃げてきたゲームクリエイター、溝田という男が現れる。
この温泉宿に惚れ込んだ溝田は、プロデューサーとして人とカネを動かしてきたと知恵と経験を駆使して、この温泉宿を再生しようと目論む。
同時に、ネットで周囲に自殺をほのめかしてやってきた、コスプレイヤーでネットアイドルのアユ。性格としては少々アレだが、これは使えると踏んだ溝田は、彼女のファンを利用してある計画を練る。
そして集まったファンの中からも様々な分野の協力者が現れ……。てな具合。

潰れかけの店をいかにして再生するか、という物語ではあるのですが、そこにあるのは努力や美談や人情ではなく、見栄とハッタリと群集心理のコントロール。
溝田の繰り出す手段は、自分は何もせず口八丁で人を動かし、仕掛けを作り金を集めるやり方でして。決してきれいなものではない。法的にもグレーゾーンというか黒だよねこりゃ、という手段もちらほら。
どうやってお客の期待を煽り、それに応え、小出しにし、カネを出させるかというその一点のみ。そのためには嘘もつくし芝居も打つし、ということなのだ。

この溝田という奴、哀れな親子の住む潰れかけの旅館を救うという名目でそういった行動に及んでいるものの、漫画のキャラで言うと主人公に痛い目に遭わされるような男でして。
しかしそんな男の取る行為をあえて肯定的に描き、「お客も納得してカネを出すならそれでいいよね」というスタンスの作品(もちろんストーリーの展開のうえでこのへんは覆されるかもしれないけど)。

また、即時性のある情報の発信のため、ブログとtwitterの活用があったり、ネットオークションも使ったり。アマチュアクリエイターを動かしひとつのプロジェクトを組み上げてみたり。ネット時代において受発信の容易な情報の活用の一例を見せていたりもするのですな。

手放しに褒められないけれど、スマートにかっこよく計画を進める溝田。
しかし彼の横には、大人びているが子供らしさのある龍之介くんが常に控えており、話の中で出てくるオトナの価値観に対しての子供からの純粋な声があることで、多少は汚いやり方でも「カネとオトナって不思議だよね」という俯瞰的で冷静な視点で読める漫画。
みんなが幸せになれるんなら、オトナのやり方も悪くないのか?という問いかけ。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

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バカ男子の妄想過多な青臭い青春に笑いっぱなし! 1巻目の「男子高校生の日常/山内泰延」


男子高校生の日常(1)/山内泰延

オススメ度:★★★★☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◇◇◇
マニアック度:■■■□□
 

とある男子高校生のクラスメイト一同による、悪ふざけの毎日を綴ったギャグコメディ。
男の子同士が集まって繰り広げられる不毛でアホな内容の駄弁りを、ギャグとしてナンセンスな方向に飛躍させた感じ。
こーいった男の子同士の会話劇コメディって、BL方面の女性向けなとこで多いんですが、これの場合はデフォルメの効いた男子の脳内そのものがなかなかうまくイメージしているため、男女問わず笑えて楽しい内容。

中心となるのは、タダクニ、ヒデノリ、ヨシタケの三人組。
加えて、硬派ヤンキーで通っているが中身は彼女ナシの中二病そのものであるモトハル、常に帽子をかぶって表情をうかがい知ることができないが実は常識人な唐沢などなど。あとタダクニの妹や名無しの黒髪女子なんかを加え、アホでしょーもなくて見ていて恥ずかしいけど、なんかやたら楽しそうな日常でギャグやってます。

彼女のいない男子同士で、彼女の作り方シミュレーションに励んだり、道端で棒を拾ったらRPGよろしく勇者の冒険が始まってしまったり。悪ふざけしてみんな一緒になって妹にどつかれたり。
アホなシチュエーションとそれに付き合う仲間達による、グダグダとして締まりがないし実に不毛な、バカ男子の身内同士のノリをうまくギャグコメディにしてるんですな。

しかしそれでいて女の子もなんかいいキャラ揃ってるし。自分の兄ともどもその友人までも足蹴にするタダクニの妹とか、川原にやってきては中二病妄想全開のノリに付き合う他校の女の子とか。目付き悪いし言動もぶっきらぼうで、かわいくないのに性根はかわいい、バイト先の奈古さんとか。
男も女も、なんかみんなどっかしらイタいキャラなんですな。
巻末では番外編的な読み切りとして、初登場となるどこかの女の子達を主人公にしたネタもありこれはこれでいいのですが、こうなるとなんかこーありがちな萌え系女子会話劇コメディになっちゃうんで、やっぱバカ男子を主人公にしてるほうが光ってるなぁ。

ショートページ連載で新人ということもあり作画に粗さはあるんですが、「バカ男子」という一点のみの強さで存在感を放つ漫画。
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2010年03月01日

新たな嫁候補の誕生か!ボケにボケるクールな不思議っ娘がかわいすぎる! 1巻目の「藤村くんメイツ/敷誠一」


藤村くんメイツ(1)/敷誠一

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●●○
万人向け度:◆◆◆◇◇
マニアック度:■■■□□
 

学校にも行かずクラスメイトからは怖がられていた不良少年の元に、お節介焼きで無口無表情だが勘違い気味のボケキャラややロリ少女を始めとする、変な学級委員達がやってきては騒動を巻き起こすという学園ライフドタバタコメディ。
なんつっても、えりさんのかわいさが抜きん出てますな。エロ妄想過剰気味なのもさらに良し。

 
絡まれていた女子を助け、相手をボコボコにしたため、周りから恐れられるようになってしまった少年、藤村。学校へも行かず町をうろついていた彼の元に、野良猫をタテに学校に来るよう、意味不明な脅迫を仕掛けてきた女の子、宇佐美えりこ。
わざとなのか天然なのかわからない言動で藤村を混乱させつつも、何故か彼女になる宣言。その日から、えりは毎日のように藤村の家にやってきては、一緒に学校に通うようになる、という流れ。
んで学校に来たら来たで、そこにもわけのわからない学級委員達がいて、というギャグ展開。

萌え系作画による学園コメディだか、内容はノリと勢いでプッシュする少年向けギャグ、という作品。
しかし女の子のキャラがいちいちかわいいのが良いのだ。
言葉数の少ない無表情不思議系を装っておきながら、静かな口調でボケにボケまくるえりちゃんかわいい。どこまで自覚あるのかわからないようなエロネタにも反応するし。
藤村の彼女宣言しちゃってからも、彼女という立場にまんざらでもない様子だったりするし。しかし言動は色々とぶっとんでるため、藤村くんの苦労が偲ばれるというもの。

最近こういった、「ボケる長門」とでも言うようなキャラもあちらこちらで増えてきましたが、なんだかどれもいい感じなのは不思議ですな。これだけちょくちょく色んな作品で見るようになると飽きも来るかと思ってましたが、こーいったキャラの場合、キャラクター性と同時にボケネタを繰り出すことで、個性を発揮できるのが強いんですな。
この作品に出てくるキャラクターも、えりちゃん以外も割とテンプレ的なキャラ作りながら、それぞれにみんなボケまくるんで、それがひとつの特徴として読めるようになってます。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

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