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2010年02月26日

売れっ子ブロガーの送る、ちっちゃかわいい妖精達との日々!憧れたら負けか? 1巻目の「ら〜マニア/こもわた遙華」


ら〜マニア(1)/こもわた遙華

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●●○
万人向け度:◆◆◆◇◇
マニアック度:■■■□□
 

大学生のロッキーは、冴えないモテない貧乏学生ながら、人気ラーメンブログ「ら〜マニア」の管理人。
そんなブロガーっぷりに目を付け現れたのは、2頭身のちんまいラーメンの妖精「しお」と「とんこつ」。
それぞれ塩ラーメンの妖精、豚骨ラーメンの妖精である二人は、ラーメンの頂点に君臨するのは塩なのか豚骨なのか、その優劣を決してもらうべく、ロッキーの家に転がり込む。
そして、ロッキーとしお、とんこつの三人による、ほんのりオタで賑やかなブロガーライフが始まる、てな萌え系4コマ。
……いかんこのテキスト入力してたらおなかすいてきた。

 
基本的には、かわいい二頭身キャラとワチャワチャやる4コマコメディながらもなかなかに密度は濃く、アニメ調でポップさと安定感のある作画に、全体的に高めのテンションも相まって楽しく読める作品。

取材に記事の投稿に、そして寄せられるコメントに一喜一憂というブロガーライフを描きつつ、ラーメンとラーメン屋にまつわるドラマも有り。
そして、ラーメンにかけては一流だが、ひきこもりで対人恐怖症でラーメン以外はてんでダメというロッキー。豚骨スープのようにねちっこくぶりぶりで八方美人なとんこつ、塩スープのようにあっさりさっぱりクールなしお。と、メリハリの効いた個性を持つキャラも見ていて楽しいし。
んでディフォルメを活かした萌え系ギャグコメの要素も有り。たまにお色気も。

とまぁ、話ごとにテーマと読ませるポイントが色々とあり、このへんのネタの広さがあるため終始飽きずに読める内容となってます。
ラーメンの擬人化、という一発ネタ勝負のマンガなのかと思いきや、読んでちゃんと面白かったのは嬉しい誤算。
あと、とんこつとしお以外にも白湯ラーメンの精なんてマイナー気味のラーメン妖精も出てくるわけですが、これで全国各地の変な麺の妖精出てくるのも楽しいかもなぁと思ったり。
鹿児島は串木野市ってところに、まぐろラーメンなんてのもありますしな。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

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2010年02月24日

ちょいエロドキドキ・おっぱいおっぱい!安心安定のクオリティ! 1巻目の「ゴルフ13/赤井丸歩郎」


ゴルフ13(1)/赤井丸歩郎

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◇◇◇
マニアック度:■■■□□
 

さりげにエロくてむっつり野郎だがごくごく平凡なゴルフ少年の元に、奇跡の力を宿し麗しい女の子達の魂が込められたゴルフクラブが授けられ、よりどりみどりのおっぱいもとい女性たちとのドタバタエロコメとお馬鹿ゴルフバトルが繰り広げられる、という作品。
「仮面のメイドガイ」の作者による新作ですが、あのトーンはそのままに、相変わらず頭の中空っぽにして読める突き抜けたギャグコメディです。

 
選ばれし聖なる魂を持つ少年、球田球太郎の元には、ゴルフクラブに宿った13人(現状6人)の聖女が集っておりまして。ゴルフクラブの奇跡の力を用いて、時に悪辣非道な輩に奪われた聖なるクラブを掛け、時に継承者としての試練に挑み、またある時はゴルフ流美人暗殺者と対峙し、ゴルフによるトンデモバトルを行うわけでして。
んでその合間に、ゴルフクラブの種類と同じおっぱいのラインを持つ聖女達とのキャッキャウフフでオイシイラブコメが展開するわけですな。

作品の傾向としてメイドガイとの比較となりますが、あちらはメイドガイというインパクトの強烈なキャラがいるのに対し、こちらは主人公の球太郎が、黙ってればモテそうなかわいい少年なのに中身がエロ高校生、てのがいい味出しておりまして。エロとは言っても妄想過多なお年頃で、純情ウブでこれみよがしなエロ行為には走らずとも、溢れるおっぱいへの妄執についつい暴走しちゃうという、そんな男の子。
露骨な色ボケキャラではなく天然でマイルドな変態さんとして、ヒロインに埋もれない存在感がありますな。

エロとギャグのノリはメイドガイと同じく、多めのネームでお馬鹿な理屈をこねまわし、ギャグシチュエーションを強引にねじこんでおいてとりあえず脱がす、という具合。
状況へと至る過程は真面目に語ってるのに、重要なポイントがお馬鹿であるというテンション高めシーケンスは、もはやこの作者の持ち味ですな。
というかもうなんでよりにもよってこの内容でゴルフなんだよ、とテーマそのものにすら突っ込みたい。
あとヒロインがこう、エロシチュエーションに対してひたすらに嫌がり、恥らい、赤面しまくるのもいいですなぁ。やはりエロコメには恥らいと嫌よ嫌よが無きゃね。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

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2010年02月23日

ちょっとおかしいけどけど楽しい毎日。変な子だらけの女子高生4コマ! 1巻目の「晴晴劇場/山坂健」


晴晴劇場(1)/山坂健

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◆◇◇
マニアック度:■■■□□
 

どこまでも子供っぽいけれど、熊を投げるし魚を手づかみ、という野生児ばりの方言娘を中心に、ちょっと変な個性を持つ女の子ばかりのスクールライフ4コマ。
今やあまり珍しくなくなった作りの4コマながら、なんかこーじわじわと楽しくなってくる作品。
きれいな顔して、みんながみんなちょっとバカっぽいのがいい。

 
主人公は、運動オンチだけれどごく普通のおとなしい女の子・円。
彼女のクラスに転校してきたのは、東北なまりのちびっこ、春日晴。見た目は小さいけれど立派な高校生で、学校におもちゃばかり持ってきたり、登校途中の川で魚をとって来たりと、天真爛漫な奔放娘。
他にもクールなツンデレ気味お嬢様、根暗ネガティブ少女に格闘技娘やら天然陽気な占い娘などなど。なんか変なキャラクター達と円さんとの日常を描く無いようとなっております。

マンガ的に明確なクセを持つキャラが特徴ですが、いかにもな個性の割に地に足の着いた日常描写が特徴でして。ありえないんだけれどどこか本当にいそうな、そんな立体感のあるキャラクターコメディとなってます。
序盤は手探り状態のためか、シュールやナンセンスを意図的に狙ったネタが目に付くものの、どれもいまひとつ別の何かで見たような印象が拭いきれないところ。

しかし徐々にこなれてくるようで、次第に個性的なキャラの自然体の姿をのびのびと描写しつつ、キャラ同士が相互に絡むことで生まれるアクシデントやハプニングをうまくネタに組み込んでおりまして。
関係性がしっかりとしたコメディ劇を演出できるようになってます。

このへん中々にバランス感覚は良さそうでして、萌えと美少女の中間に位置するキャラ作画や、キャラクターコメディと日常コメディと間をとるネタなどなど、よくあるようでいて印象に残る個性を発揮できていると思います。
設定としては漫画的な誇張が効いているのに、ネタとシチュエーションは日常的なんですな。
あとさりげになかなかエロスも仕込まれてたり。
箸休め的に読んでも記憶に残る、そんなマンガです。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

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2010年02月22日

リアルな宇宙は厳しく過酷。それでも負けない人類の姿が熱い! 1巻目の「アステロイド・マイナーズ/あさりよしとお」


アステロイド・マイナーズ(1)/あさりよしとお

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●●○
万人向け度:◆◆◆◇◇
マニアック度:■■■■□
 

小惑星開発に従事する孤独な作業員。低軌道宇宙ステーション勤務の新米パイロット。外の世界に憧れる、小惑星育ちの少年。
彼らを主人公に、今より少しだけ未来の世界における宇宙での暮らしが「本当」のところはどうなるのかを描きつつ、地球を離れ重力を振り払い、高みを目指す人類の挑戦そのものを見せようという作品。
ちょっとおかしくてなるほどとうなずき、未来にいくばくかの夢を与えてくれる、そんなSF。

 
それぞれ別個の時代設定がなされているものの、共通しているのは我々の世界と地続きの未来でありまして。
なんでも可能な万能の未来世界ではなく、今現在の科学技術の延長線上にある宇宙開発の姿。不自由で不便で何をするにもままならない。水の確保にも苦労するし、今と変わらないロケットで新米パイロットは宇宙に上がるし。
それぞれのシチュエーションでのドラマをギャグ混じりにコミカルに描きつつ、人類が民間も含め宇宙へと本格的に進出していくその黎明期において、宇宙での生活というのはどういうことが起こるのかを読ませてくれるのですな。

このへん、「まんがサイエンス」なんかでも見られた科学学習マンガの要領でして、非常にわかりやすい説明で「実際のところはこうなるんだよ」と教えてくれます。
宇宙ロケットの原理と仕組みや、重力と慣性についてなどなど。このへんの「なるほどそうなるのか」という発見については、SF入門書とでも言うべきとっつきやすさがありますな。
そして、その「実際のところ」を忠実に守りつつSFドラマを描くとこうなる、というリアルさが特色となってます。

そのためやっぱり派手なもんじゃないしロマンもへったくれもないし、ちょっとしたことが命の危険につながるしと身も蓋もないところがあったりするわけでして。それもまた一種のギャグとなるわけですな。
しかし、根底に流れるのは、人類の叡智と科学への希望でして。こんなに不便でこんなに大変だけれども、それでも人々は宇宙へ進出し、地球から離れて暮らし、子を産み育てていくのだという、強い信念を伴った夢を語っているわけでして。
この宇宙への憧れそのものを強く思い起こさせるマンガとなっております。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 22:53 | トラックバック
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2010年02月19日

読めば誰でも子供の心を取り戻す!絵本と童話の世界がマンガに! 1巻目の「In Wonderland インワンダーランド/薮内貴広」


In Wonderland インワンダーランド(1)/薮内貴広

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●●○
万人向け度:◆◆◆◇◇
マニアック度:■■■□□
 

19世紀末のイギリスによく似た世界観を舞台に、言葉を話す動物たちや魔法の道具に囲まれた、不思議な森の中で暮らす少女・エリゼの日々のドラマを描く作品。
幼い頃に読んだ西欧童話の世界がそのままにマンガとなったような内容で、牧歌的なメルヘンながらも大人の鑑賞にも耐えうる人物の深みと作画の美麗さが特徴となってます。
絵本の挿絵にワクワクした、幼児期の体験が鮮烈に蘇るようですな。

 
主人公のエリゼは、魔法学校に通う女の子。ちょっとおてんばでおしゃべりが過ぎるけれど、根は優しく明るい子。
ウサギの少女と泉で遊び、アヒルのお母さんからお仕事を頼まれたり、大きなカメのおばさまと一緒に暮らしたり。時には魔法の道具や魔女も登場し、エリゼの周りではいつも不思議で楽しいことばかりが起こる、てな具合。

題名が示す通り、不思議の国のアリスをモチーフとしつつ、童話と絵本の中にあるような世界を再現しておりまして。
他にも海外の童話作品のエッセンスをそこかしこに盛り込んであり、これを読むと小さいときに読んだ「おはなし」を読者それぞれが思い出すんですな。
それは例えばピーターラビットかもしれないし、メリーポピンズかもしれないし、ムーミンかもしれない。
ああいった作品に初めて接し、エキセントリックなアイテムやキャラクターの数々にときめいた、その瞬間のきらめきのようなものが紙面に再現されてるんですな。
絵柄がそういった海外児童文学の挿絵のような、緻密で繊細で、リアルさとかわいらしさを併せ持っていると同時に、エリゼや他の登場人物の物言いも、どこか翻訳調だったり。英語の歌やら英語の言葉遊びなんかもあったり。

しかしながら、いかにも子供っぽいエリゼを中心としたストーリーはほのぼのとしながらも、エリゼを取り巻く大人たちの姿はヒトとしての深みのあるキャラクターばかりでして。エリゼの日常での発見や成長を見守りつつそっと関与していくという、ちゃんとした「大人」の姿があるんですな。こういった大人の視点があることで、読み手も一緒にエリゼの保護者のような立場で微笑ましく彼女の様子を読んでいくことができるわけですな。特に亀のバーバラがいい味出してます。

とはいえまずは、何も考えずこの絵の世界に浸りたいマンガ。
エリゼのひらひらエプロンドレスに、もふもふ具合がたまらないウサギ達に、優雅に美しい魔法の数々。そしてティーセットにアイロンにケーキにお菓子といった小道具類までも、つぶさに眺めていく喜びに満ちてますな。ガラス張りの温室の中にまだらに落ちる影まで絵にするとか、この凝りようはちょっと凄い。

どこからともなく湧き上がる、児童文学に対する懐かしさが第一印象ですが、ほのぼのとした内容に反し絵もキャラも何度も繰り返し読み込む面白さのある作品。
非常に個性的ではありますが、こういうのもアリよね。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 23:36 | トラックバック
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2010年02月18日

唖然とする衝撃の展開と息を飲む陰惨なストーリー 異色の中世欧州ドラマ! 1巻目の「ヴォルフスムント 狼の口/久慈光久」


ヴォルフスムント 狼の口(1)/久慈光久

オススメ度:★★★★☆
俺これ好き度:●●●●○
万人向け度:◆◆◇◇◇
マニアック度:■■■□□
 

14世紀初頭のアルプス地方。ハプスブルク家の圧政に対し謀反を企てたとして、首謀者のエルンストが処刑される。そして見せしめに彼の一族を皆殺しにしようとするハプスブルク家。
それに対し、エルンストの娘・リーゼは騎士ゲオルグとともに逃亡。南へと向かいミラノを目指すものの、イタリアへと通じる峠には「狼の口」と呼ばれ非常の番人が守る厳重な関所があった。
……とまぁ、物語はこのように始まるわけですが、読者の予想と期待を裏切るショッキングな展開が待ってます。最初に1話目を読んだ時はあっけにとられたというか、呆然としてしまった……。

 
時代背景としては、後のスイス連邦へとつながるアルプスの同盟と、その同盟の権益を奪い力でねじ伏せ支配するハプスブルク家との対立がありまして。
同盟は独立を掲げ反乱するものの、ハプスブルク家はこれに徹底的な抑圧を加える。
見た目こそ美しい青年だがその性格は冷酷極まりない番人の治める「狼の口」という関所もその抑圧の象徴でありまして。同盟の民を外へ出さず閉じ込め他国から孤立させ、反乱分子を厳しく取り締まるべく、峠の要所に設けられている、という背景。

んでまー、さきほど述べたような導入部であるからして、逃亡するお嬢様とその騎士が、ハプスブルク家との戦いの渦中に身を投じてかっこよく活躍するんだろうなぁと。そういうヒロイズムに溢れたアクション活劇なんだろうなぁと。
そう思ってたんですがこれが違う。
主役はこの関所そのものだったのだと。読んで気付かされます。大きな衝撃とともに。
こればっかりは読んでもらうしかないところ。

このインパクトの大きさや読者を襲う喪失感は、作品の構成とドラマ作りの巧みさによるものでして。
シチュエーションやシーケンスから自然と予想される展開をうまくミスリードにもっていって、カタルシスを逆のベクトルに発生させ、その結果読んで驚くストーリーとなってるんですな。
無情な抑圧に次々と踏みにじられてい姿はあまりに非道で救いの無いものでして。その有り様をしつこいまでに延々と読まされるうちに、同盟の民と同じようにハプスブルク家に対する怒りと憎しみが募る作品。……彼らの無念な顔が、いつまでも脳裏に残っちゃうんですよ。
マンガとしては決して後味が良いとはいえないですが、多大な犠牲を払いながらも少しずつ着実に進行していく同盟の計画。この行く末を見届けるまでは目が離せないですな。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 22:59 | トラックバック
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2010年02月16日

巧みな仕掛けが静かな感動を呼ぶ、時を越える愛の物語! 1巻目の「クロノス・ジョウンターの伝説/アサミ・マート」


クロノス・ジョウンターの伝説(1)/アサミ・マート

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◆◇◇
マニアック度:■■■□□
 

物質を過去へと転送するクロノス・ジョウンターと呼ばれる装置と、この装置を巡る人々のストーリーを追う作品。
1巻目の主人公となるのは、クロノス・ジョウンターの開発チームの一人で、フラワーショップに務める女性に片思い中の吹原和彦。
過去への転送実験が成功した直後に起こったある悲劇。それを食い止めるべく、彼はクロノス・ジョウンターに乗り込むことになるわけだが……。

 
タイムマシンによる時間移動にともなうドラマを描くストーリーですが、この装置には色々と制約がありまして。制約どころか時間移動の装置としては大きな欠陥をも持っており。
その制約や欠陥がドラマのギミックとなり、話を盛り上げる作りとなっております。
なんでもできる万能装置ではないがために、より物語が面白くなるんですな。

この1巻目では副題として「吹原和彦の軌跡」と銘打たれており、彼の話は1巻目最後まで読んだところで決着がつくようになってます。
しかし作中では彼以外の人間もクロノス・ジョウンターを使用したことが明らかになっておりまして。
またこの装置にかかわる謎もいくつかが残されたままでして。
2巻目以降ではこのあたりの秘められた要素も語られていくことでしょう。

SFではあるものの、本題となるのはただひとつの想いを遂げるために何もかも投げ打って奔走する一人の男の物語であり、ギミックを形作る最低限のルールを把握しさえすれば難しくなく読めるところ。
ページが進むにつれ、果てしない時間の流れにより絶望的とも言える状況に置かれる彼の姿と、その結末にはなかなか胸を熱くさせるものがありますな。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

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2010年02月15日

地雷震復活!冷たく鋭く血生臭く、ハードボイルドサスペンス! 1巻目の「地雷震  diablo/高橋ツトム」


地雷震  diablo(1)/高橋ツトム

オススメ度:★★★★☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◆◇◇
マニアック度:■■■□□
 

高橋ツトムのデビュー作であり代表作でもある「地雷震」の続編となる作品。
2007年、石川県のある島において、島民のほぼ全員が被害者となる事件が起こる。事件は政治的な問題も孕み、政府によって隠蔽された。
それから一年後、石川県警に属する木暮太一は、事件の真相究明と島民の一人であった姪を助けるため、飯田響也とコンタクトをとる。しかしその飯田響也は視力を失っており、移植手術が必要な状態であった。
そして行方不明となっていた事件の生き残りが、島民を見殺しにした日本政府に対して復讐を果たすべく行動に移り……。

 
北朝鮮と日本との板挟みに遭う形で起こった事件と、その生存者達。
依頼者でありながら、何かを隠す木暮太一。そして飯田響也。
余談を許さぬ状況の中で緊迫感のある展開が続き、徐々に見えてくる事件の全容。政府間の目論見。そして更なる悲劇の幕開け、といった展開でして。
そこらの本格ハードボイルドにも負けない迫力と読み応えのある内容。
8年ぶりの新作であり続編ものではありますが、エピソードとしては新規となるので、キャラのポジションが把握できれば初めて読むのも問題ないはず。

酷薄で冷徹で、静かに淡々としていながらも、血生臭く激しくスピーディーに動く状況が特徴的でして。
かつキャラクターごとに背負う信条や理念をクローズアップさせることで、どっしりとした重さのあるドラマとなっております。
しかし話もまだまだ序盤でして。調査と情報収集のパートがメイン。1巻目巻末で事態が大きく動き出し、これから飯田響也も本格的に動き出すかというところ。

娯楽性豊かなエンターテイメントでありつつ、作画やキャラの背景による凄みがあり、そこらのサスペンス小説にも負けない面白さを感じさせる内容。
硬派で骨太でタフなストーリー。そこらのちゃらちゃらした見かけだけのアクションドラマを寄せ付けない質の高さがありますな。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 23:20 | トラックバック
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2010年02月13日

こんな学生生活を送りたかった!静かな熱に浮かされる、蕩けるような夏の恋。 1巻目の「夏の前日/吉田基已」


夏の前日(1)/吉田基已

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◆◇◇
マニアック度:■■□□□
 

芸術大学に通う学生と、バイト先で出会った和服の年上女性と。ある夏の日に出会い、一夜をともに過ごした二人。芸術家の卵と見守る大人のオンナという図式で送る、もどかしくも激しい恋のストーリー。
なんつーかこう、「俺はこういう学生になりたかったんだー!」というような、大人になって振り返る理想の青年像と言いますか。ぶっちゃけると、おっさんになっても願い続けたい童貞妄想を形にしたような1巻目。
しかし話としては、この恋の行方も平坦ではなさそうで……。

 
芸大に通いバイト暮らしの主人公・青木哲生。画材屋でのバイト中、とある画廊の店長の、藍沢晶と出会う。
和服に日傘という出で立ちの晶に何故か気に入られた哲生。そしてある雨の夜、なかば晶が強引に誘う形で結ばれる二人。
その日から互いに求め合う関係となりながらも、恋の姿勢としてはどこかぎこちなく危なっかしい二人の関係。
そして哲生には目の端で姿を追うだけの気になる女の子もおり、また画家を目指す自分と、晶に嵌り込んでいく自分との葛藤もあったり。

無愛想で人付き合いも不器用で、絵を描くことだけに正面から向かい合いながらも、自分の未熟さにいら立ちを覚える哲生。そんな彼に突然できた年上の彼女。その唐突な恋に対する戸惑いと喜びと、そして大人になりきれない自分に対する、青年期特有の怒りや腹立ち、焦りや悩みを抱え。
そしてこんな哲生を全面的に受け容れ、優しく包む晶。
描かれているのは、割とシリアスでしっとりとした青春の恋愛なんですが「そこらのなんでもない若者に、突如現れた年上のイイ女が一方的に惚れてきて、若者の思うままに肌を重ねる」てぇのがもう、ちくしょうこの野郎、と羨ましいわけで。
しかし悩み多き若者はこんなによく出来た彼女がいても何かと迷うわけですな。

ねちっこいベッドシーンが印象的だったり、晶の存在がもう女神もかくやというくらいによくできた女性だったりと、なんかもー都合が良すぎるだろうと思わせるものの、20代を過ぎて迎える猛々しくも青臭い若者の姿に「おおいに悩みやがれ」と厳しく見守りたいような目線になる作品。
どのみちこの恋、このまままっとうにうまくいくわけないしなー。哲生の気になる女の子がどういう位置付けになっていくのか。先行きはまだ見えません。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

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2010年02月12日

コミカルなのにリアルで時代劇好きも納得!お江戸に花ひらく恋の4コマ! 1巻目の「お江戸とてシャン/森島明子 」


お江戸とてシャン/森島明子
全1巻

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●●○
万人向け度:◆◆◆◇◇
マニアック度:■■■■□
 

文化文政の江戸は大伝馬町を舞台に、まだ子供のような木綿問屋の箱入り娘と町火消しの纏い持ちとの恋を描くコメディ4コマ。
かわいい絵柄から萌え系4コマかと思えばさにあらず。町人文化の世界を丁寧に描く本格の時代劇でもありまして。
予想外の嬉しさのあった1冊。基本的にコメディなのに読み応えあるのだ。

 
数年間の療養生活を送ってきた木綿問屋の娘・おヒナ。久しぶりに江戸へと帰ってきたその日、火事の現場へ急ぐ町火消の一団と遭遇する。その中にいた火消しの花形、纏持ちの虎吉に一目惚れ。
おヒナと虎吉と周囲の人々ともドラマを演じつつ、おヒナの思いは実るのか?という展開。

世間知らずの箱入り娘でまだまだ子供っぽいけど優しくて芯の強いところもあるおヒナと、いい男だが目つきも怖く無愛想で無表情な虎吉。少女の淡い憧れがいつしか強い愛情へと変わるストーリーでして。
そこに、木綿問屋の住人達や火消しの男たち、女彫り物師にかわいい妖怪まで加わり、四季の移ろいとともに様々な行事や風物詩を紹介していくという感じ。

江戸の名物や町人文化ひとつひとつが話のテーマと重なり、同時に丁寧な解説も加わることで、江戸の市井の暮らしぶりを読んでいく内容でもありまして。このへんの描写が、ちょっとやそっとの取材じゃ到底描けないほどに密度が濃いです。
さりげなく登場する風景や小道具にもいちいち凝ってまして、時代劇を読む人ならば「おっ」と唸るレベルであります。女性の書き手なだけあって、着物の柄から彫り物から細かに書き込んであるもんで、このへんの絵を見る楽しさも。
で、そうした丁寧なディテールの積み重ねから見えてくる、江戸の町人の心意気がまた気持ちのいいものでして、虎吉の粋でいなせな男っぷりが実にかっこいいのだ。

物語は、おヒナと虎吉のじれったい恋から、過去にあった悲恋の話を経て、クライマックスも盛り上がる作りとなってまして。4コマなのにドラマチックで泣かせる人情劇でもありまして。
初出の記載が無かったんですが全36話で月イチ連載だとして3年間にわたる長編作として、なかなか読ませるマンガです。
時代劇だからなんて敬遠せず、表紙の鮮やかさに誘われて手に取ってみてほしい1冊。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

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2010年02月10日

「もやしもん」の石川雅之最新作は、笑えてシリアス絵に仰天の、ウブで恋多き中世魔女の物語! 1巻目の「純潔のマリア(1)/石川雅之」


純潔のマリア(1)/石川雅之

オススメ度:★★★★☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◆◇◇
マニアック度:■■■■□
 

百年戦争真っ最中のフランス。時代はジャンヌ・ダルクよりも後。近隣の住人のために薬を作り、戦があれば戦場をかき回して争いを鎮め、人々から畏怖をもって敬われている魔女マリア。
しかし当の本人は、そこらにいる普通の少女と代わりなく、恋に興味のあるお年頃。ちょっといいかなと思った若者の姿を追って戦場を荒らしまわったりとやってるうちに、大天使ミカエルに目をつけられ……、といった展開。
もやしもんで培ったキャラのエッセンスを多分に発揮しながらも、土台にある重厚な中世ファンタジードラマが堪能できる一品。

 
見た目は少女な魔女マリア。戦争と、戦争を止めようとしないカトリックがなにより嫌いで、夜な夜なサキュバスを軍隊の指揮官の元へと送り、骨抜きのスッカラカンにすることで部隊を無力化し。時には自ら戦場に舞い降り、ドラゴンや巨大ゴーレムやらを使役しては戦場そのものをかき回し、力づくで無益な争いを鎮めてしまう。
しかし淫魔を使役するくせに、当の本人は男性もろくにしらない純潔な乙女そのもの。理想の男性との出会いを夢見る彼女でして。使い魔にそのことをからかわれては逆上したり暴れたり。
ところが、戦争を遠ざけ人々を守っているつもりだった彼女に対し、ただの自己満足で世の理を乱していると大天使ミカエルが登場。しかし魔女マリアは、見ているだけで何もしない天のほうが間違ってる、と対立するわけで。

強いんだけれどもどこかしまらないマリアとその使い魔との掛け合いをコミカルに描きつつ、魔女狩りと百年戦争の時代をこれでもかってなくらいに密度の濃い描写で見せる作品。
群衆シーンや戦場の絵はいちいちすんごい書き込みでして。まず兵隊の着ているものが全部違う。兵隊だけじゃなくて、戦場にやってきたヴァルキリー達の鎧兜も一人ひとり違う。なんでここまでこだわるのってなくらいに手間ひまかけた作画にまずは圧倒されるところ。ドラゴンやらのクリーチャーも細かく丁寧に描いてあるもんなぁ。B6版で読むのがもったいない。A5版がいいなぁ。
しかしこんだけやっといても、話の中心はウブでお転婆な乙女の魔女とその周辺によるドタバタであるという割り切り方が楽しいのだ。

以前には、「カタリベ」「人斬り龍馬」といった作品があったもんで、中世モノやるなら日本を書く人なんだなと思ってましたがなんのなんの。時代設定のはっきりとした中世ヨーロッパも書くのか軽く驚いてしまった。
ストーリーそのものは、もやしもんよりもそれ以前の「カタリベ」あたりのような、中世における酷薄な戦争の最中にあって特別な力を持ちながらそのために翻弄される主人公、といったところでして、基本的にシリアス。……のはずなんだけどキャラのせいでわちゃわちゃと締まらないのが特色。
もやしもんの印象そのままにこれ読むと意外に感じるかもしれませんが、もやしもんにもあった詳細で濃密な情報量の多さはこの作品でも健在。
ストーリーから設定から時代背景から作画から、ありとあらゆるものを読み込んでいくのが楽しい漫画。
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2010年02月09日

異様に豪華な執筆陣!ゲーマーでなくともこれは要注目! 1巻目の「スペランカー アンソロジーコミック」


スペランカー アンソロジーコミック

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◇◇◇
マニアック度:■■■■□
 

「ちょっとした段差で死ぬ」「コウモリのフンで死ぬ」という虚弱な主人公で有名なレトロゲーム、スペランカー。
このスペランカーを題材に、16人の漫画家がそれぞれにショート作を寄せた1冊。
良い意味で統一感の無い、執筆陣のコアなチョイスが目を引くところ。
スペランカー知ってる知らないに関わらずチェックはしておきたい作品。

 
とりあえず掲載作家は、
田丸浩史、花見沢Q太郎、秋★枝、押切蓮介、雑君保プ、道満晴明、高野うい、刻田門大、久松ゆのみ、などなど
といったところでして、名前を見て「えっ」と二度見しちゃような方もちらほら。
どんな作品が飛び出すのか予想もつかないラインナップなのがいいですな。

しかし、スペランカーというゲーム自体古いソフトということもあり、アンソロのテーマとするには内容が物足りないのも事実でして。
洞窟を探検して財宝を見つける、という目的のみのストーリーに、「弱い」というくらいの個性しかない主人公。武器や回復アイテムなどのいくつかの小道具に、他はキャラといっても幽霊やコウモリなどの敵キャラがいるくらい。
こんなシンプルな昔のゲームをどう膨らませ、それぞれに漫画として描いてくれるのか。
そしてなんつっても、原作ゲームを出したアイレム自体が、インパクト抜群の「スペランカー先生」なる作品を半ばオフィシャルに漫画として登場させているわけで。
意外にこのアンソロ企画、かなり書き手の力量が問われるのかも、と思ったり。しかし逆に設定があまり無い分、いろいろと話を広げやすいのもあったりするのでしょうが。

基本的にはショートギャグ中心ですが、ラブコメ有り萌え有りと「そうくるか」というアプローチの作品もあったりでして。このバラエティ豊かさはなかなか楽しい。
個人的には、まさかコウモリにときめかされるとは思わなかった秋★枝の話が好き。
とりあえずお気に入りの作家がこの企画に参加しているというだけでも、充分買うきっかけとはなりそう。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 23:28 | トラックバック
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2010年02月08日

眺めているだけでユカイになれる、謎の女子高生とその他美少女(?) 1巻目の「おまもりんごさん/ms/hirahira.net」


おまもりんごさん/ms/hirahira.net

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◇◇◇
マニアック度:■■■□□
 

もともとは、PC上で動作する視覚エフェクトアプリケーションソフトであった内容を、そのキャラクターと世界観そのままに、ゆるい雰囲気の4コマとした本作。
一応、芸能プロダクションに所属するアイドルユニット、となってはいるものの、まったくそんなこととは関係無しの女の子達によるこちゃこちゃとした不条理な日常がネタとなっております。

 
学校の敷地の片隅にある、オンボロ芸能プロ「茅場プロダクション」に所属する女の子達。
少々頭がユルい不可思議生物、御守りんごさん、美人でセクシーなのにりんごさん大好きの変態・海棠コイさん。
見た目はロリだが性格はオヤジっぽくてメンバー中唯一成人している可児奈津美さん。そしてこの三人を取りまとめ、お母さんのように世話を焼いてる苦労人・秋田奈々子。
このメンバーを中心に、歌ったり踊ったり騒動したりという内容。

ちょっと変な女の子達によるゆったりだらだら不条理ライフ、でありまして、かわいさを残しつつ適度にぶっとんだキャラクターと作画の質の高さから、水準以上のクオリティを持つ4コマ。
んでもって、やっぱりんごさんが良いのだ。

頭の中は食い物のことしかないし、本能でしか動いてないみたいだし、まともにセリフもなければ話の筋にほとんど関わってこないのに、ページのそこかしこで怪しげに動きまわっておりまして。
他の女の子達は普通の萌えキャラなのに、りんごさんだけなんかこう……作画からして違うし。
しかし、いくらりんごさんが面白いリアクションを取ろうとも、それだけでは成立しないのでヘンテコ女子高生達の日常が土台にあるという具合か。いやまぁ、りんごさんの一挙手一投足だけで4コマにしちゃっても、それはそれで非常にシュールな面白さになるとは思うけど。

絵もカワイイしよくある萌えキャラ日常4コマなんだけど、ナンセンスなおかしさのある漫画。
おまもりんごさんの出自をしらなくてもちゃんと面白いのだ。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 23:58 | トラックバック
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2010年02月05日

最愛の妻がオッサンとなって帰ってきた!君はいじらしいおっさんに萌えることができるか!? 1巻目の「パパがも一度恋をした/阿部潤」


パパがも一度恋をした(1)/阿部潤

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◇◇◇
マニアック度:■■■□□
 

美人で優しくて料理の上手なお母さん。お母さんが亡くなってから3年、家族がうまくいかなくなっていたその時、怪しげな中年の男性がやってくる。
その正体は、亡くなったはずのお母さんだった!?
という設定からしてもう無茶なドタバタコメディ。しかし終始スラップスティックな中にも、母性愛と家族の温かさを見せている……んですが、「やっぱ無理!おっさんだもん!」という葛藤を読者にも強いる作品。

主人公は中学3年生の女の子、山下トモ。
彼女の母親、多恵子が亡くなってから3年。その間、父である吾郎(38)はショックでずっと引き込もりのニート状態。一緒に暮らしている祖父もそんな父を甘やかしてばかり。
そんな時、家族の前に一人の中年男性がやってくる。小太りで髪の毛も後退しており、まごうことなき「おっさん」そのものである彼は、どうやら死んだはずの母親そのものであるらしく……。

んで、どこからどう見てもおっさんなのに、夫婦の密かな思い出は知ってるし、玉子焼きやら味噌汁やら、「お母さんの味」を再現しちゃうし、しぐさも喋り方も母親そのもの。でも絶対にこのおっさんがあのきれいだったお母さんだなんて信じられない!という葛藤に苦しむことになるわけですな。
なし崩し的に不審なおっさんと同居するようになった家族ですが、娘以上に混乱することになるのが父親でして。
かつて愛した妻が、おっさんになって帰ってきた。100歩譲って本当に自分の妻だとして、もう一度愛することができるのだろうかと。
風呂場の脱衣場で着替えシーンに遭遇して、望んでいないはずなのに思わず欲情してしまったり、パート勤めの最中に他の娘と仲良くする姿に嫉妬してしまったり。
自らの感情に翻弄される姿が必死なのに笑えるのですな。

そしてこの多恵子さん(仮)がほんとーにいじらしく、幸せな家庭を守ろうとする良き妻たらんとしているのに、自分がこんなおじさんの姿だからと激しく落ち込み、家族に対して謝る姿が可哀そうでなりません……。
シチュエーションですでにオチてるようなギャグではありますが、今後どれだけ話を広げていけるかが見物か。
内容が内容なだけに、これなら実写化もアリかもなーと思ったり。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 23:44 | トラックバック
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2010年02月04日

「天顕祭」の白井弓子が描く、遠い未来に生まれた「妊婦による特殊部隊」の物語! 1巻目の「WOMBS/白井弓子」


WOMBS(1)/白井弓子

オススメ度:★★★★☆
俺これ好き度:●●●●○
万人向け度:◆◆◇◇◇
マニアック度:■■■■□
 

移民同士が20年に渡り苛烈な戦争を繰り広げる惑星、碧王星。
ごく普通の農家の娘であったマナ・オーガは召集令状を受け取り、「転送兵」として新兵訓練に務めることとなる。
転送兵とは、妊娠しているメスの個体だけが転送能力を持つという碧王星の現地生物・「ニーバス」の、その体組織を子宮に移植し、胎内で育てることにより人間でありながら転送能力を身につけるという、ハスト国女性兵のことである。
転送兵としての訓練を続けながらも、悪化してゆく戦況から否応なく経験不足なマナ達も戦場へと駆り出されることになる、という物語。 

 
未来SFであると同時に戦記物であり、そこに本来もっともそぐわないような、「女性による妊婦兵」というモチーフをあてがうことで、酷薄な戦争と女性たちの母性を同時に描くストーリー。
異形の生物の一部を子宮に宿すことで特別な能力を得る女性たち、というアイディアも特徴的ですが、それをわざわざ未来世界の戦争ドラマの中でやってしまうという意欲作。

SF、戦記ドラマとしての世界観や設定等もかなり丁寧に作りこまれてます。
断片的に見えてくる戦争の全容と国家間の対立、そして転送兵の歴史が、静かに悲惨さをあぶり出し、主人公であるマナの運命にいやでも悲劇を予感させられ、話の緊迫感がぐっと増しております。
そして「飛ぶ」という能力を身につけたマナ自身の体験が、女性として、兵士として、そして「転送兵」の持つ実情を描き出し、これまで見たこともないような戦記SFを見せてくれるのですな。

戦争と兵士、上官と部下、碧王星という惑星の謎、移民の歴史、転送兵の運命、そのそれぞれにドラマがあり、絡み合い、実に多様で複雑に入り組んだ話を紡ぎ出す作品。
SFとして、戦記ものとしての下地も充分に面白く、そのうえで「転送兵」の存在が目をひく漫画。
とりあえずこの1巻目だけでも読んでみないと、この面白さは伝えにくいなぁ。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 23:08 | トラックバック
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2010年02月03日

しっかり作りこまれた異世界ファンタジー!これはじっくり末永く付き合っていきたい! 1巻目の「天乞 −あまごい−/ていか小鳩」


天乞 −あまごい−(1)/ていか小鳩

オススメ度:★★★★☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◇◇◇
マニアック度:■■■□□
 

現代日本で暮らしていた、とある兄妹とその友人たちが突如見たことも世界に飛ばされ、兄は散り散りになった友人たちと妹を探し旅に出る、という異世界冒険ファンタジー。
異世界への転移ものとして、深まる謎や秘密が読者をひきつける内容。長編作としてかなり期待できる作品。

 
晴れ男の兄、海老名天。その妹で雨女の海老名杏。
杏の合唱コンクールの日、会場には兄妹とともに天の学校のクラスメイト達も集まっていた。
ステージに立つ杏の歌声が響く中、杏と同じ声をした別の歌が会場に流れ、同時に異変が起こる。
気を失った天が目覚めたそこには、巨大なキノコが生い茂る森と、妹と同じ姿をした何かの死体が大量に転がってた。
という導入から始まる話。

見知らぬ土地へと飛ばされた混乱、徐々に明かされる謎とこの世界の全貌、そして見えてくるストーリーと、1巻目を通しての構成が非常によくできており、何気なくページをめくっているだけでも話の中に引き込まれる感じ。
散り散りになった友人達との再開や、主人公とその妹の秘密などもうまいこと意外性を出して提示してくれるため、作品世界の設定が徐々に輪郭を帯びて見えてくるごとに、複雑さを増していくこの物語の先行きも「どーなってしまうんだ」と気になってしょうがないのだ。
なにせ状況があまりにも絶望的で、手がかりもほとんど無いままに旅を続けざるを得ない主人公に対して、自然と見守るような視点で目が離せなくなるわけですな。
妹の愛らしさと兄妹の仲の良さが際立つだけに、けっこうグロめの描写を伴なう厳しい現実を見せつけられると、「なんとかしてやりたい!」という気分にさせられるわけだ。

物語の全容はまだまだ見えてこないところですが、2巻目以降について大いに期待を持たせてくれる展開。
じっくりじりじりと焦らず急かさず付き合っていきたい漫画。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 23:57 | トラックバック
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2010年02月02日

和服+ケモミミ幼女が百合ん百合んでたまらん! 1巻目の「此花亭奇譚/天乃咲哉」


此花亭奇譚(1)/天乃咲哉

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●○○○
万人向け度:◆◆◆◇◇
マニアック度:■■■□□
 

昔の日本を模した、もののけ達が住む世界。神様を祀る町にあり、狐っ娘達が女中として働いている一軒の温泉宿。
新たな女中として山からやってきた主人公、柚を中心に、温泉宿を巡りお客や他の狐っ娘達とドラマを繰り広げるという内容。

 
シチュエーション重視の百合ラブコメであり、女中さん達はそれぞれにペアを組んで仕事をすることになっており、性格の異なるキャラ同士がカップルとなった場合の関係性を、会話やシーンで見せる作品。
んで、発展途上で膨らみかけでムッハーなお嬢さんたちの肢体をお風呂やらお着替えやらで眺め回すのもアリ。

主人公、柚は思いやりのある優しい子だが、ちょっとばかりどんくさくてトロい娘でして。彼女とペアになるのは、気が強くしっかりものだが少々カタブツな皐。
何かと失敗の多い柚に手を焼く皐だが、柚の純真さに影響され、また柚も皐の心強い頼もしさに惹かれていくという具合。
キャラごとの長所短所を、相方となるキャラで埋め合わせるように、二人でひとつのコンビとしての個性を出していくという、読み切りタイプの百合作品としての構図を持ってます。
そのためストーリー性は少々希薄で、温泉宿を巡る話も主人公たちの喜怒哀楽を描くほうが中心となってます。このへんは作品のカテゴライズとしてしょうがないところはあるか。

しかし作画の質は高く凝った和服に身を包んだ少女達も不足なく描ききっているため、かわいいケモミミ娘達の表情を眺めてるだけでも和む漫画。
キャラも姉御肌、ボーイッシュ元気娘、生真面目委員長タイプ、不思議系ロリ、猫かぶりお嬢様と色々揃っております。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 23:20 | トラックバック
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2010年02月01日

もはや幻想的風景のような、古き良き少年達の青春ストーリー 1巻目の「群青シネマ/都戸利津」


群青シネマ(1)/都戸利津

オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●○○
万人向け度:◆◆◆◆◇
マニアック度:■■■□□
 

1961年の四国。とある高校に通う三年生男子の仲良し三人組が、大好きだった恩師を驚かせるため、校内の倉庫に眠る8ミリカメラを引っ張り出し、夏休みを使って映画製作をしようというストーリー。
昔の日本で、田舎で夏休み。何かを生み出そうという少年たちの活気と前向きさがまぶしいジュブナイル。

 
リーダー格で他の二人を牽引する栄朝日、大きな会社の跡取りでブレイン役の弥方京一郎、自作の小説が雑誌に入選した里見たまき。
寮内の同じ部屋で暮らし、いつもつるんでは何かと騒動を起こす高校三年生の男子三人。
この三人に何かと目をかけてくれた水野先生という恩師がいたが、東京に行ってしまい三ヶ月が経過していた。
そんな時に学校の資材室で8ミリシネカメラと撮影道具一式を見つける。同時に、水野先生の学校で自主制作映画の応募をしていると知った三人は、先生に見てもらおうと夏休みを使って映画の撮影を始める。

それぞれに育ちも性格も違う友達同士が、高校生活最後の夏の思い出として映画を作ろうというわけでして、手探りながらも道具の使い方や撮影の技法、演出について互いにアイディアを出し合い、形になっていくという様子が実に楽しそうでして。
たっぷりある夏休みと、気の合う仲間と一緒に何かを生み出そうと同じゴールに向かって進んでいく姿がいいんですなぁ。ちゃんと青春してるなぁこいつら、と、憧憬を誘う60年代の日常をバックに羨ましい思いが。
時代をわざわざ1961年とし、しかも8ミリ映画がテーマとなっているだけあって、小道具や背景の作画は非常にこだわっておりまして。茶碗の柄やら勉強道具や制服姿に反映される昔懐かしい日本の風景と、本格的で具体的な描写を伴なう撮影シーンはつぶさに観察できる面白さもあるんですな。

お話のほうは、順調に進むかと思われていた映画撮影もちょっとしたことでつまづきだし思うようにいかなくなり、そこを知恵とチームワークで乗り越えようというところに、三人がそれぞれに事情を抱え、そのために友情に変化が現れる、という流れ。
三人の仲の良さが描かれ、映画撮影に取り組む楽しげな姿が印象的な序盤から徐々に暗雲が立ち込めてくる1巻目となってまして、構成がきっちりしてるんで「これこのまま90分の映画かなんかにできないか?」と思うくらい。
「この夏休み、俺らで何かしよう!」というジュブナイル作品の王道にものっとっているところですな。

しっかり作ってある青春ドラマという印象で、これなら幅広く読んでもらえるなという作品。安心感あります。
あとちなみに、三人の憧れの水野先生というのは男性です。「ジュブナイルならそこは定番のお姉さん先生だろう!」と思っちゃった。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

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