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2009年12月25日

ささやかだけれど、香ばしくて少し苦い。そんなドラマの欠片を集めて。 1巻目の「珈琲時間/豊田徹也」


珈琲時間(1)/豊田徹也

オススメ度:★★★★☆
俺これ好き度:●●○○○
万人向け度:◆◆◆◆◇
マニアック度:■■□□□
 

コーヒーをテーマに、舞台も時間も異なる人々のドラマを描くオムニバス短編集。
設定としてコメディありSFありといろいろやっていながらも、まさに一杯のコーヒーのようにふわりとした香りを残す話ばかり。

 
例えば、一人の女性チェリストと胡散臭い外人男性。探偵と少年、少女と叔母、銃を向け合う男性二人などなど。
ある特定のシチュエーションの中に置かれた人々が、コーヒーを間に挟み言葉を交わし、そこに世界と人間模様の断片を見出すという作り。何度か出てくる共通の登場人物はいるものの、話ごとに連続性はほとんど無く独立しています。
またドラマとして明確な抑揚やオチのあるものは少なく、セリフのやりとりの中からその背景にある物語を想像するような作りでして。話も全編に静かな雰囲気。

しかし一見おとなしいようでいて、キャラの色味やクセのつけ方が絶妙でして。わずか12ページの中での、落ち着いた会話劇でしっかりと印象深いキャラの個性とバックボーンをあぶり出してくれるのですな。
説明的なセリフやナレーションもあまり無いなかで、なにげない言葉ひとつでその背後にある景色や世界が豊かに膨らむのですな。
そこに喜怒哀楽の余韻が残るという具合。

何がどうと「面白い」「笑った」「悲しい」といった具体的な感想よりも、ただただそこにさりげなくもはっきりとした香りを残すような。そんな短編集。
しかしこの映画監督はいいキャラしてるねぇ。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 2009年12月25日 23:44

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