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2008年07月06日

1巻目の「FRIPFLAP/とよ田みのる」


FRIPFLAP/とよ田みのる
全1巻
オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●●○
 
(ひょうたん書店通販ページ)
ピンボールがとりもつ男女のラブコメを描いた作品。中篇1本に短編ひとつの読みきり作。
ピンボールで漫画が成り立つのか?という不安をよぎらせながら読んでみると、これがなるほどよく出来ておりまして。
描くべきポイントを絞りつつ巧い構成でありながら、ピンボールに対する熱意がビンビンと伝わってきますな。

 
主人公は高校卒業を機に憧れの同級生に告白した男の子。しかし彼女はその告白に対して「このピンボール台のハイスコアを更新したら、つきあってあげる」という条件を出し、その日から主人公のピンボールに対する格闘の日々が始まる、という内容。
ラブコメとはいってもテーマからして異色気味で。サブカル風なスポーツ漫画って感じか。

ヒロインは何も嫌がらせというか遠まわしに断るために「ハイスコア更新」という難題を突きつけたわけではなく、彼女自身もピンボールの魅力にとりつかれ、熱狂するゲーマーなんですな。
で、それまでほとんど触れたこともなかったピンボールに、彼女を介して接することで、いつしか主人公もその虜となり、やがて……。という展開。

そもそもピンボールは、台に仕込まれたギミックを攻略し、スコアを重ねていくというゲームでありまして。通常のゲームのようにステージクリアという概念が無く、ひたすらに限界まで点数を稼ぐ遊びなわけで。
しかも誰かのと交流があったりキャラクターがいたりということもなく、向き合うのは自分自身のみでしかも終わりがないと来ている。
ドラマとしてこのモチーフはどうよ?と思うものの、ところがどーして。孤独に一人きりだからこそ生まれる没入感とそこから生まれる盛り上がりがうまく描けておりまして。読んでてこっちも思わず手に汗握るんですな。
ピンボール攻略のうえでのこまごました仕掛けやテクニカルな側面を大幅に省略し、台に向き合い孤独に、しかし熱く戦うその姿のみをクローズアップし、心理描写を中心にシーン構成してるのがうまくいった感じですな。

ラブコメとしては、ピンボールとラブコメとがうまくもうちょっと噛み合ってくれればなーとは思うものの、話数の限られた中ではピンボール側に比重があるのも仕方ないか。
しかし、普段は物静かだが台に向き合うと荒っぽい性格に豹変するというヒロインがなかなかに不可思議で、その容姿もあいまって変な魅力がありまして。
彼女の存在感がラブコメ部分を支えていますな。

何かの足しになるわけでもなく、美麗なエンディングが待ってるわけでもなく、ただひたすらに自分の限界のみを追及するというピンボールの世界。
なんだかひどく面白そうな気がしてきまして。
近所に台を置いてるとこないかなぁなどと気になっちゃう一冊ですな。
(ひょうたん書店通販ページ)

(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 2008年07月06日 23:37

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