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2008年07月04日
1巻目の「百舌谷さん逆上する/篠房六郎」

百舌谷さん逆上する(1)/篠房六郎
オススメ度:★★★★☆
俺これ好き度:●●●●○
(ひょうたん書店通販ページ)
世に言う「ツンデレ」が病気だったら、という設定で始まる、バイオレンスなドタバタコメディ。
…であるにも関わらず、登場人物の個性の掘り下げが徹底しており、奇妙な設定とめぐり合わせによるドラマとして非常に面白い作品。
そもそも分類が難しいんだよなぁ。ラブコメでありながらどこかもうSFじみているような。
ヒロインとなるのは一人のお嬢様小学生。彼女は「ツンデレ」の病気にかかっており、他人の好意に対して感謝とは逆の感情表現をしてしまったり、照れと恥じらいにより傷害沙汰の暴力を(それはもう容赦なくボッコボコに)ふるったり。
そんな少女がある小学校に転入してきたところ、ツンデレとしての物珍しさから好奇の目で見られながらも、気になる男の子と仲良くなることでクラスにも馴染み始めた頃、事件が起きてしまう。という流れ。
他にも「不細工な外見とイラつく性格のおかげで、まったくもって興味の対象にならない」というひどい理由のためにツンデレの症状が出ず、あげく下僕としてこき使われる男の子がいたり。
誰とでも打ち解け仲良くできる気さくな性格のためヒロインに歩み寄り、そのため悲劇の渦中に身を投じることになる男の子がいたり。
このへんの主要なキャラがいちいち面白いのも見所のひとつ。
しかしなんつってもヒロインたる百舌谷さんの、目を見張るような個性につきるでしょうな、この漫画。
頭が良くてプライドが高く、ツンデレとしての自分の置かれた状況を知り抜いているために世間とは距離を置く一方、他人に対して好意を抱く=相手を傷つけるという寂しさの中にあり。
そういう暗い側面がある一方で、生まれ持ったS気質があり恐ろしい嗜虐趣味も持っており。
かつ、かわいいものに目が無いうえに人並みの恋愛に対しての憧れも持っており。
実に複雑に作りこまれたキャラなんですよ。
「ツンデレ」というものを徹底的に突き詰めたキャラクターを登場させ、ドタバタやりつつも一枚岩のラブコメではなく、ラブコメの要素を織り込みながらそれらのパターンを裏切る形でドラマを展開させ、そして奇妙な人間関係の中で百舌谷さんがどのような変化を見せていくのか、連続性のある長編としても非常に楽しみな一作。
まぁこう言っちゃうとなんだか小難しいマニア向けの作品のように思えてきますが、そんなの抜きにして「行き過ぎたツンデレ」として凄まじくバイオレンスなコメディとして存分に楽しめますよ。
しかしまー、こんなの読んじゃうと、世に溢れる形式だけの「ラブコメ」ってやつがいかに予定調和な中に埋没してるのかよく分かるよなー。
過剰であっても性格と設定を作りこみ、キャラにきちんと悩みと苦しみと成長課題を与え、そのうえでドラマを展開しているわけで。
人物の個性とその深みの質が段違いですな。
(ひょうたん書店通販ページ)
投稿者 bird_chief : 2008年07月04日 23:24
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