2008年05月26日
1巻目の「おもいでエマノン/鶴田謙二・梶尾真治」

おもいでエマノン/鶴田謙二・梶尾真治
オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●●○
(ひょうたん書店通販ページ)
失恋の傷を癒すための旅行の帰り、九州までの船の上で出会った一人の不思議な女性。
突拍子も無いことを言い出す彼女との、たった数時間の間に起こった奇妙な体験を描くSF作。
かつての原作小説の挿絵を手がけた鶴田謙二本人による漫画版、というなんとも豪華な一冊。
時代は1967年。主人公は大学生の男性。手痛い失恋から逃げるように旅行に出た後、その帰路として九州へ向かうフェリーの船内で、ヒッピーのようなフーテンのような格好をした、エキセントリックな雰囲気を持つ女性に出会う。
ささいなきっかけから言葉を交わすうち、主人公のSF好きを知った彼女は、自身にまつわる途方もない事実を話し始める。
偶然であった男女の間に発生した会話劇を通して、壮大なSF的な背景を見せるという短編作であります。
女性の語る言葉を通して、地球と生命の辿る道とその行く末の果てに思いを巡らせることになりながら、確かにそこにいるのにどこにもいないような、そんな彼女「エマノン」の謎めいた魅力が非常に強く印象に残る一冊。
緻密な作画がなお一層、その存在感を際立たせてくれますな。
あとこれ、気付きにくいところなんですが、フェリーの終着点は鹿児島でして。しかも漫画の中では雪が降っているんですな。
冬といえど鹿児島でそうそう目にすることの無い雪の中で描かれる、旅の終わりと別れ。この光景に特別な意味があるというのは、鹿児島県人じゃないと実感しにくいかもしれません(実感できたこっちはちょっと得した気分ですが)。
巻末には、「エマノンのおもいで」をカラーページもそのままに再録。さらには本のカバーを外してみると、そこにもカラーで描かれたエマノンの姿が。
ファンにはもちろん、そうでない方にも贅沢な一冊ですよこれは。
(ひょうたん書店通販ページ)
投稿者 bird_chief : 2008年05月26日 23:24
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