« 1巻目の「ジエンド/村枝賢一」 | メイン | 1巻目の「フダンシズム−腐男子主義−/もりしげ」 »
2008年04月10日
1巻目の「狼と香辛料/小梅けいと・支倉凍砂」

狼と香辛料(1)/小梅けいと・支倉凍砂
オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●○○
(ひょうたん書店通販ページ)
中世ヨーロッパを舞台に、行商人の青年と、見た目は少女だが狼の神である二人の旅を描く、「中世貨幣経済」ドラマ。
ああなんか、ケモノ耳の萌え系であれね、と思ってたらかなり面白かった!迂闊だったぜ!
表紙でスルーせず、広くいろんな方に手にとっていただきたい。経済をまじめに描いたファンタジーということで、大人の人にこそ。
ストーリーは、一人の行商人がとある村を訪れるところから始まる。古来から狼を神として奉ってきたその村では、収穫の祭りの最中であった。
そして村を離れる時、その土地から美しい少女の身なりをした狼の神がついてきた、という導入部。
で、正直言うと、「ケモノっ娘萌えでまったり旅路で癒し系なそんな感じ?」とか思っちゃってたんだ。でも違ったよ。すまんかった。
実はこの作品、中世ヨーロッパの中で行われていた経済活動をテーマそのものとする漫画だったのだな。
主人公は行商人で、ただものを売り買いするわけじゃない。中世イタリアに始まったとされる為替取引も出てくるし、本位貨幣や通貨の切り下げ(銀含有量の低下)により利ざやを稼ごうとする話も出てきたり。中世期における「商業活動」の姿をかなり本気で描いているんですな。
背景をよく見ていると、ちゃんと当時の公証人や両替商の姿もあるし。
貨幣経済の歴史とその仕組みを丁寧に解説してあり、なんか後半ではマルクスの資本論をかじっているような気分にさえさせてくれます。
で、そういった複雑な取り引きの中で、主人公は損をするのか儲けるのかという部分でドラマを作る一方で、そこに永き時を生き、多少の特別な能力も持っているケモノっ娘がうまいぐあいにお手伝い、という感じ。
作画の小梅けいと氏の功績もあり、ヒロインの魅力はずば抜けているとともに、今につながる経済の仕組みの、基礎的な部分をモチーフにした商売人のドラマでありまして。
やってることとテーマは非常に地味になりそうなところを、高いキャラクター性とその魅力で補っているのが巧いですな。
まず絵で驚き、テーマに驚き、面白さに納得、という出来。
表紙の美少女で敬遠するのはもったいないんで。ご一読を。
(ひょうたん書店通販ページ)
投稿者 bird_chief : 2008年04月10日 23:13
Trackback Pings
このエントリーのトラックバックURL:
http://b-chief.org/mt/cgi/mt-tb.cgi/1595

