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2008年03月18日

1巻目の「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない(上)/杉基イクラ・桜庭一樹」


砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない(上)/杉基イクラ・桜庭一樹
オススメ度:★★★★☆
俺これ好き度:●●●○○
 
(ひょうたん書店通販ページ)
とある田舎町を舞台に、それぞれに家庭内に問題を抱えた少女同士の邂逅から巻き起こるドラマを描いた作品。直木賞作家の旧作コミカライズでございますよ。
…なんかもう上巻だけでも不幸フラグ鬱フラグが立ちっぱなしで。よくできてんだけど重たいわぁ。

 
主人公は中学生の女の子。父を亡くし母子家庭だが、引きこもりのうえに浪費家の兄がおり、家族は金銭的に逼迫している。そして、高校へは行かずに自衛隊に入るのだと決意している。
彼女と同じクラスに、浮世離れした1人の少女が転校してくる。美しい容貌でクラスの注目を浴びるが、自分のことを人魚だと言い、妄想とも本気ともつかないような言動をとる。

そんな2人があるきっかけから近しい距離となり、彼女たちを中心に話が進むわけでして。
2人とももう、なんかもーあああもおお、というくらいにいたたまれない。家庭環境に問題が、というだけなら今どきドラマの種にもならないくらいですが、理不尽な境遇にありながら、そこからの自立と大人への渇望をどこか歪んだ形で実現しようとする、主人公のもがく心理が痛々しく伝わってくる作品でありまして。
何かが欠けてしまった思春期を送る少女の姿を生々しく描いた、むしろ文学作品に近いわけですな。

んでまー、どうも人魚少女のほうには虐待の痕跡があり。そのうえ○○が××されたり。この時点でけっこう読んでズシンと応える。
で、上下巻が同時発売なので言ってもかまわないと思いますが、なんというか救われない、ショッキングな展開が…。

それでも2人の少女が、それぞれに重いものを抱えながらも、しぐさや表情のひとつひとつは魅力的に描かれているのが救われますな。
特に人魚少女の、その晴れやかであどけなく、またはかなげな容貌は印象的。
だからこそ、鬱展開がよりいっそう胸に響くわけですが…。

アニメ調美少女2人がどーのこーの、という漫画だと思ってると、面食らうような裏切りが待ってる作品。ひとつの文芸作品だと思って読んでいただきたい。
(ひょうたん書店通販ページ)

(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 2008年03月18日 23:14

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