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2008年03月15日
1巻目の「マルスのキス/岸虎次郎」

マルスのキス/岸虎次郎
全1巻
オススメ度:★★★☆☆
俺これ好き度:●●●○○
(ひょうたん書店通販ページ)
ごく普通の高校を舞台に、タイプのまったく異なる女子2人が惹かれあう、切ない片思いの物語。純情百合作品の秀作だ。
…こういうの読むとあれだよね、もはや美しい純愛の姿は百合かBLにしかないのだろうかと思えてくるねぇ。
主人公はごくごく普通の女子校生。過保護に育てられた反発から、夜遊びを覚えセックスばかりの彼氏がいたり。そしてある日、彼女にとって相容れないはずの、真面目な優等生で地味な同級生が、美術室の石膏像に口付けをするところを目撃してしまう。そのきっかけから優等生の子と親しくなった主人公が、やがて彼女に自分自身を投影し、また自分の姿をかえりみるようになり、友情が憧れへと変化していく。という内容。
百合作品の純愛ものとしてベーシックな構造を取りながら、真面目にしっかり描かれた佳作。
主人公となる夜遊び少女の主観により描かれる、その内面が非常に丁寧であり、キャラ配置としてのヒロインは優等生のほうでありながらも、その彼女と出会ったことで、一人の女性として成長してゆく主人公の姿が非常に鮮やか。
ストーリーとしてもシンプルなものなのに、ひとつの出会いから主人公に変化が現れる過程が実に繊細に描写され、複雑で細やかな心情を見事に切り取り、切なく美しい印象的なシーンをいくつも堪能できるわけですよ。
話としての起伏もわずかで、短編ひとつ分くらいで済ませることも可能なのに、そこをじっくりと贅沢にコマとページを使い、単行本一冊分にしてあるのは偉いですな。
女性同士の秘められた姿を描いた百合作品であると同時に、ひとつの成長の記録なのですな。
ざっと読むだけだとシリアスだがありがちで地味な百合、という感触ですが、じっくり丹念に読んでいくと、ささやかな出会いから大切なことに気付かされ、自分自身を見つめ直し、その姿もどんどんキレイになっていく主人公の魅力にやられる作品。終盤の表情はそのひとつひとつが良いんだなぁ。
(ひょうたん書店通販ページ)
投稿者 bird_chief : 2008年03月15日 23:54
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