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2008年02月28日

1巻目の「3月のライオン(1)/羽海野チカ」


3月のライオン(1)/羽海野チカ
オススメ度:★★★★☆
俺これ好き度:●●●●○
 
(ひょうたん書店通販ページ)
羽海野チカ最新作である。読まないわけにはいかないよなぁ。
大きな喪失と心の傷を背負い、プロ棋士として孤独に勝負の世界で生きる少年の、閉ざされた世界から始まるドラマ。
ヤングアニマルで新作を描くと聞いてどうなるんだーと思ってましたが、しかしびしばしと面白いので満足。

 
17歳という若さでありながら、家族も無く1人暮らしで、ただ将棋を指し自立すること以外に何も知らず何も手にしていない主人公。
そんな彼と家族のような付き合いをしている3姉妹。
深すぎる痛みと悲しみのあまりに閉ざされた世界に篭り将棋に没頭していく主人公が、3人姉妹との暮らしの中で自分とそして周囲のことを見つめなおしていく、というストーリー。

カタチとしては将棋漫画というよりも、若くしてプロ棋士にならざるをえなかった少年の心と成長の話でありまして。
3姉妹達との日々を羽海野チカ特有の明るく賑やかなトーンで描きつつ、プロ棋士の厳しく孤独な生き方と、主人公の抱えた大きな傷とを交互に見せ、その反復でキャラの内面に降りていく、という仕組みになっています。

前作「ハチミツとクローバー」の印象そのままに本作を読み始めても、たぶんほとんど違和感は無いでしょう。
愉快でキャラが濃い登場人物達の魅力の高さも変わらず、また明るいシーンから一点しての、胸を締め付けられるようなセンチメンタリズムも健在。
1巻目ではまだまだキャラの足元を整えて立ち位置を明確にしている段階ですが、話の核心となりそうな伏線と重要な設定も見え隠れしており、後に続くドラマへの期待感も充分にあります。

なにより、全ての登場人物がすでにそこにずっといたような、強い個性と存在感を持って「生きて」いるのが凄いよなぁ。
唐突だったりちょっとだけの顔見せにすぎないキャラでも、もうそこに生き方や生い立ちを感じさせる造形になっているわけで。だからあとは、彼らが自分のことを語り自分の人生を歩んでいくだけで、物語になってしまうわけですな。

また、前作の時よりも主人公を含めたキャラクターには色濃く喪失や不幸の影がつきまとっていまして。
やっぱ今回も、楽しいんだけれど切なく辛いストーリーになっていくんだろうなぁ。
楽しみ。
(ひょうたん書店通販ページ)

(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 2008年02月28日 23:32

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