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2008年02月04日
1巻目の「サイコスタッフ/水上悟志」

サイコスタッフ/水上悟志
全1巻
オススメ度:★★★★☆
俺これ好き度:●●●●○
(ひょうたん書店通販ページ)
受験を控えたごく普通の男子高校生として暮らしている主人公。彼のもとに普通の女子高校生の姿をした宇宙人が現れる。
実は主人公は数十億人に一人のレベルの超能力者であり、彼女は自分の所属する軍隊の超能力部隊へ彼をスカウトするためにやってきたのだった。という設定。
超能力という才能を持ちながらも普通に暮らす主人公と、そんな彼を嫉妬にも似た感情で追い回す努力型のヒロインとで、ドタバタ気味ながらもきっちりとしたストーリーで読ませてくれる快作短編。
この作者はほんと、中〜短編作は切れ味の良さがあるのよね。
自分が超能力者であるという自覚を持ちつつも、どこかの星の戦争より自分の受験のことが大事な主人公。そんな彼をあの手この手で自軍に招きいれようと奮闘するヒロインですが、主人公にはまったくその気が無い。
稀有な能力を持ちながらも、成果は努力で掴み取るものという主人公に対して、軍人として最大限の努力を行ってきたが才能に恵まれず、自らの能力を活かそうとしない主人公に苛立ちを覚えるヒロイン。
この二人の対比があり、同時にヒロインの敵対する勢力の宇宙人が登場すると同時に、ある危機が迫るわけなんですが。
主人公とヒロインと、キャラとしての性格設定に至るまでの造形がいいんですよね。
特に主人公の、能力者でありながら、それによる恩恵も受けず悲劇も無く、本当に超能力そのものは人間の本質や価値と全く関係が無いという主義を心の底から持っているという、この性格は新しいですね。
努力の人と才能の人とがいて。努力の意味とは何なのか、才能の意味とは何なのか。キャラ同士の問答と応酬の中で見えてくる問いかけに対し、その答えが形になっていくように、クライマックスもまた盛り上がってくるんですよ。
そして迎える結末はなんとも爽やかで読後感も晴れやかでして。
SF短編として、なかなかの傑作と言っていいと思います。
この作者は本当に、ギミックのあるファンタジーの中で、主人公のアイデンティティをしっかりと作品の主題に据えて話を作るのが巧いですな。
設定や仕組みとしてありがちでも、きちんと読ませてくれるんですよ。
(ひょうたん書店通販ページ)
投稿者 bird_chief : 2008年02月04日 23:44
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