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2008年01月22日

1巻目の「星は歌う/高屋奈月」


「星は歌う」(1)/高屋奈月
オススメ度:★★★★☆
俺これ好き度:●●●●○
 
(ひょうたん書店通販ページ)
少しワケ有りな生活を送る女の子が、不思議な雰囲気を持つ男子と出会ってどうのというラブコメ作。
いやー、「フルーツバスケット」著者の最新作なんですが、格の違いを読んで感じますよ。なんかそこらの少女漫画とは明らかに別物だというくらいに出来が良く完成されてます。
作品全体を取り巻く空気や、主人公のキャラ設計と周囲のキャラの描き方は前作「フルーツバスケット」と似ておりますんで、前作から入ったファンもするっと読んでいけるでしょう。

 
主人公は高校生の女の子。ある事情から親代わりの従兄弟ととともに2人で生活しており、その生活費も自分で働いて工面しておりまして。周囲の大人たちから哀れみと蔑みの目で見られながらも、彼女は大切な家族と信頼できる仲間達のいるこの暮らしを充分に幸せだと思っていまして。
そこに、不思議な雰囲気を持つ男の子がやってくる、という展開。

舞台設定やストーリーの背景をあえて序盤から提示せず、話の入り口をかなり広くとった作りが印象的。そのためありふれたラブコメに見えるところなんですが、場面構成の巧さとキャラクターの良さがあり、独特の深みを持った作品となっております。

コミカルで賑やかな日常シーンの描写で人物の関係性を見せ、そこから一転してシリアスなシーンでは内面の心理描写でドラマを盛り上げる。少女漫画的なドラマ作りとしては普通の手法なのに、ひとつひとつのシーンとそこにいるキャラが非常に印象的でして。
この1巻目読んだだけで、場面ごとにさまざまな感情が湧き上がってくるんですよ。
ヒロインの生き方やその想いに優しい気持ちになり、彼女の置かれた境遇にいたたまれなくなり、しかし賑やかな学園生活は実に楽しく読めて、そして身を切られるような切ないドラマがある、という具合。
主人公の身に起こるドラマに、ここまでしっかり読者が同調できる少女漫画は多くないですよ。

特にキャラクターの見せ方が素晴らしく、単純に設定と性格だけでなく、生き方と価値観がしっかりと読み手に伝わり、またその価値観がドラマの盛り上がりを生むのですな。
登場人物同士が作る相関関係や構造が、設定からなる立ち位置だけでなく、もっと曖昧で繊細な心の距離感を出せているというのは、なかなかできることじゃないよなぁ。

派手ではなく目新しい設定があるわけでもないのに、読めば「ああ、もう全然違うレベルだ」と分かる出来の良さ。
あとはもう、キャラの好き嫌いだけですな。
(ひょうたん書店通販ページ)

(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちら)

投稿者 bird_chief : 2008年01月22日 23:55

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