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2007年06月21日

1巻目の「当世白浪気質〜東京アプレゲール〜」

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「当世白浪気質〜東京アプレゲール〜」(1)/杉山小弥花
秋田書店・ボニータコミックスα
6/15発売

          
時は昭和23年。焼跡残る東京に眼力確かな美術品泥棒あり。名は吉田虎之助。お宝探して迷いこんだ山村で人形のように美しい少女・千越と出会う。彼女は村のために、山の神の使いである白狼に嫁入りするというが…!?
(秋田書店公式サイトより引用)
          
オススメ度:★★★★☆
俺これ好き度:●●●●○
戦後間もない東京を舞台に、美術品専門の泥棒と、人身御供として育てられてきた少女によるサスペンスロマン・ラブコメ風味。
全体的な雰囲気が良く、キャラによるドラマも見応えがある。多少の粗があるものの、なかなかおすすめ。
(各5段階評価・合計4つ星以下は感想無し)

 
【感想】
昭和23年。美術品を主に狙うしがないコソ泥が、ダム建設により水の底に沈む運命にある村にやってくる。
そこで1人の少女と出会うが、彼女は「山の神の妻」となるべくその村で育てられ、時が来れば生け贄となる運命にあった。
そんな2人が色々あってに暮らすこととなり、GHQ占領下、経済が混迷していた時期の東京にて、数奇な関係で結ばれた2人とその周囲とで巻き起こるドラマを描く内容。
主人公が泥棒といってもノワールアクションやミステリ的要素が前にあるのではなく、関わる事件をドラマとして描きつつ、2人の関係が変化していく様子を長編的に語る漫画です。

また、エピソードごとの事件としてのドラマもなかなか面白く、占領下の日本という設定も単にモチーフとして借りてきただけではなく、物語や話の持つテーマをうまく終戦直後の社会的事情と同調させ、ストーリーに乗せているのは巧いっすな。
ただ雰囲気は出せているがリアリティがあるかというと微妙。引用としての使い方が巧いのでそこまで気にならないけど。
またセリフも丁寧で、言葉の選び方に気を遣っているためネームがキレイなんだ。また端々に偉人の名言や古美術のウンチクをセンス良く挟み込み、読む楽しさもあるんですな。その分まぁちょっとネームの量が多い。読むのに時間かかるなぁっていうだけですが。

あとなんつっても、ヒロインがいいキャラしてんのよね。神への贄として育てられてきただけあって世間知らずなんだけど、純粋なだけに思い入れが激しい。表情の変化に乏しいがその目はクールで凛々しく、大人びているかと思えば妙なところで子供っぽかったり。いい娘だ。コメディタッチで描かれる時の表情もかわいいしな。
そんな彼女と主人公との間で、静かに錯綜し発展を遂げるそれぞれの想いが実に良いんだよなぁ。
理屈でプロットを転がしつつも、根っこは情の漫画であり、上品で落ち着いたロマンス要素が堪能できます。
サスペンス風味の展開であっても、常に話の土台には2人の関係性があるということであり、不思議な愛の物語として読めるのだ。

【こんな人に読んでほしい】
ちょっぴりオカルト気味なロマンスコメディとして女性に読んでもらえますが、漫画好きには男女問わずおすすめしたい。敬遠されるとすれば絵だろうけど。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちらから)

投稿者 bird_chief : 2007年06月21日 01:48

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