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2005年03月02日
1巻目の「BLOOD ALONE」

「BLOOD ALONE」(1)/高野真之
メディアワークス・電撃コミックス
2/26発売
【あらすじ・感想】
小説家であり探偵でもある青年・クロエと、吸血鬼であるミサキが織り成す何気ない日常や小さな事件を描く叙情的ストーリー。
そんな毎日に時折訪れるクロエの過去にまつわる因縁や、吸血鬼社会の影。
はたして、人間と吸血鬼、2人の愛の行方は……?
(メディアワークス公式サイトより引用)
良作。おそらくこれから先しばらく、電撃の新たな顔となる作品だろうと思います。
まずは思い切った表紙が目を引きます。ほぼ全て茶系で描かれた絵に、控えめな表題ロゴ。
他の電撃コミックス新刊と横に並んだ時にこれがあると、気にならないわけにはいかないでしょう。
物語の導入となる1話目がまた素晴らしく良い出来。正確には1話目に至るプロローグ部ですが。
淡々としていながらも、二人の間に通う愛情が伝わる日常描写。そしてアクセントを加えながらの最低限の設定説明が入り、ヒロインの立場を明確に読者に示し、さらにこの次に待つ展開への伏線を見せ、最後にピアノの音を響かせて「Episode1」となります。
非常に静かでありながらも、この物語の幕開けを厳かに盛り上げる、そんなタイトルコールです。
この1巻目のストーリーは、まずクロエとミサキの関係を描くことに重点を置き、日常を見せる読み切りエピソードが2話続きます。次に最初の盛り上がりを見せる大きなエピソードが3話に渡って描かれ、その後インターバル的に変拍子の話が入り、1巻目は終わります。
この組み立ても非常によくできてます。メリハリがうまいことついてます。
連載開始から二ヶ月かけてじっくり土台を固めた上で、その2話で描かれた日常から大きく踏み出す世界を描き、数々の伏線を提示させたところで、また日常に戻ります。
さらに、エピソードごとの締めのコマが良いですね。着地点をしっかり踏みしめている感じです。
主役の二人以外にも、今後レギュラーとして何度も出てくるであろうキャラが、各エピソードごとに何人も出てきます。
主役も含め、その1人1人にこれまたうまい具合に謎が隠されておりまして、今後の期待を煽ります。
1巻目ではまだあまり登場の機会に恵まれないキャラでも、しっかりと自己主張して去っていくため、次に出てくるときはどういった形で話に絡むのかが非常に楽しみです。
あと特筆すべきは昼夜の表現でしょう。
吸血鬼の話ということで、「昼と夜」というのは大きな要素なわけですが、それをこの作品では「コマ以外の余白部分」で表現しています。コマ以外の部分が黒なら夜。白なら昼。明け方や日没もきちんとグラデーションを使い表現しています。
これだけでも面白いですが、この昼夜表現を使うことにより、非常に興味深い印象を読む者に与えてくれます。
夜、つまり吸血鬼であるミサキの活動時間はページが黒くなってしまうため、彼女の登場するシチュエーションがコメディ要素を含んだなごやかなものであったとしても、シーンとしての印象が、静かで、はかなく、どこかしらに悲哀を帯びたものになってしまうんですな。これがまたこの作品にいい味を与えてくれるんですよ。
一見すると微笑ましい様子でも、彼らの背負うものの重さが伝わってくるようです。そしてその背負ってるものがなんなのか、また続きが気になるわけですな。
しかし格闘シーンなどの動きのある場面がちょっと弱いか。
アクションが大きくなると、描くべき動作を描いていないところがちらほらありまして、あるコマから次のコマにかけて、いったいどういう挙動があったのかがわかりにくいんですな。
そういったページで「ん、あれ?」という違和感が生まれてしまうのが、この作品の難点といえば難点。
気にならなければ全く気になりませんが。
ともあれ、良作。
それにあれだ。
ミサキの八重歯(キバ?)の見せ方がズルいんだよな。
通常のコマでは描かれないのに、ふとした表紙に見える八重歯がかーわいいんだこれがっ。
オススメ度:★★★★★
俺これ好き度:●●●●○
(各5段階評価)
【こんな人に読んでほしい】
レーベルはMW電撃ですが男女問わず読めるでしょうこれは。
しかし、2巻目以降に引きずる謎の要素が多いため、「こいつとかこいつとか、一体なんなわけ?」とせっかちなタイプには向かないか。
(1巻目レビューの概要と、採点基準はこちらから)
投稿者 bird_chief : 2005年03月02日 02:59
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